神様の気まぐれ

□2人の距離
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組織は壊滅したものの、安室は未だにポアロで働いている。

"毛利小五郎とその知恵袋"が居るところには何故か事件が舞い込む。

その理由を調べるように指示されているためだった。



とはいえ特に変わりない平和な日。

◇◇は◆◆と一緒にポアロで軽食をとっていた。

しかしいつもの元気はどこへやら。

食事中から食後まで、◇◇はずっと上の空。



「◇◇さん体調でも悪いんですか?」

「安室さん悪い、気にしないでくれ。ただの失恋だ」

「……は?」

「ハマってた漫画のキャラに恋人が出来てな」



◆◆が事情を説明すると、その言葉が聞こえていたらしい◇◇は更に放心状態に。



「…僕としては非常に複雑ですが」

「だろうな。数日中には回復するだろう」

「数日もかかるんですね」

「二次元相手だと愛情を惜しみなく注ぐからな。癒えるまで時間がかかる」

「現実の恋人にもそれくらい注いで欲しいものです」

「ふふっ、それは無理だ」



クスクスと笑う◆◆。

無理だとハッキリ言われ不満気な安室。

放心状態の◇◇。

その場は異様な光景だった。



「…何故です?」

「これはあたしと◇◇の共通した持論だが」



◆◆曰く。



二次元が相手ならばどれだけ愛が深くてもマナーさえ守れば誰にも迷惑はかからない。

しかし現実は違う。

『好き』という感情は誰かを傷つけることも沢山ある。

それは恋人であったり恋敵であったり自分自身であったり様々だが。

だからこそ人間は理性が働き、感情を制御するのである。

二次元と同じ感覚で、現実の人間を愛することは出来ない。



「言いたいことは伝わりますが、不服ですね」

「(まぁ、安室さんの場合は元・二次元の人間だけに特殊だが)」

「◇◇さん、いい加減起きて下さい」

「…はっ!安室さん!?」

「そんなに好きだったんですか?」

「はいそれはもう大好きでした!…でした」



自然と過去形になった自分の発言にショックを受け、また放心状態に。

安室はため息をつき、バイトが終わったら連れて帰ることにした。

◆◆は安室をほどほどに励まし、店を後にする。





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