神様の気まぐれ

□第10話
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「残念だったなァ…恨むならネズミ共を恨め」



気付いた時には薄暗い廃墟の中。

◇◇と◆◆は手錠をかけられ、身動きが取れずにいた。

目の前には、全身黒ずくめの服装をした長い銀髪の男。



「あんただけ逃げ切っても組織は壊滅だろう」

「こんなことして何かメリットあるの?」

「赤井秀一とバーボンは必ず始末する。だが、ただ殺すだけじゃ足りねぇ」



先にお前らを目の前で殺して、絶望の顔のまま殺してやる。



それを聞いた◇◇と◆◆は顔を見合わせる。

自分たちは彼らに怪しまれていたような存在だ。

人選を間違えているとしか思えなかった。

そこへ大きな音を立てて廃墟の扉が開かれる。



「ようやくお出ましかァ…バーボン、赤井秀一」

「ジン…貴様!」

「希望通り、我々だけで来た。彼女達を解放してもらおう」

「誰が解放してやると言った。コイツらはここで殺す」

「ふざけるなッ!」



安室が声を荒げると、ジンが嬉しそうにニヤリと笑う。



「さァ…先に絶望したいのはどっちだ」



銃口は◇◇と◆◆の頭上を行き来する。

だが2人には不思議と恐怖心は湧いてこなかった。



「お兄さん、もう無理だって。大人しく捕まりなよ〜」

「あたしらもう帰りたい」

「…さっきからうるせぇ女共だな。随分余裕じゃねえか」



緊張感のない会話に安室と赤井は冷や汗ものだ。



「まずはお前からだ。よく見ていろバーボン!」

「ッ!」



向けられた銃口の先には◇◇。

安室がホルスターから銃を取り出すが、間に合うはずもない。

そのまま引き金が引かれる。



「ぐっ…!?…ぐぁっ」



だが発砲する前に、ジンの動きが止まり銃を落とした。

うめき声とともに体が地面に崩れ落ちる。

状況を理解するために一瞬の時間を要した安室と赤井だったが、すぐさまジンの拳銃を拾い上げる。

そのまま手錠を嵌められたジンは、苦痛により気を失った。



「◇◇さん!」

「◆◆…無事か!?」



彼女たちの手錠を外し、怪我がないことを確認する。

2人は助けられたお礼を言うと、安室と赤井から謝罪が返ってきた。

しかし巻き込まれたとは思っていないので、笑顔で再び感謝を述べる。



「しかしジンは一体…」

「助けてくれたの、カミ君だよね?」

「どうりで銃口向けられても怖くなかったはずだな。ありがとう」

「「…?」」



《本当、お転婆はほどほどにしてくれよ》



「誰だ!?」

《降谷零と赤井秀一。オレの娘たちを守ってくれてありがとうね〜》

「…娘、だと?」

「待て待て、誰が娘だ」

「こんなに(見た目だけ)若いパパとか嫌だなぁ…」



「あなたがジンを気絶させたというんですか」

《まぁね。でも毎回こんなに干渉出来るわけじゃない》

「こんなこと滅多にないよ。ありがとうカミ君」

《でも流石に今回はやりすぎたからしばらく謹慎かなぁ》

「謹慎なんてあるのか」

《悪いけどしばらくは2人を守れないから、降谷君と赤井君に任せることにするよ》

「以前◆◆が言っていた、彼女達を守る存在というのは…」

《オレのことだね。いや〜、お転婆で困った子たちだけどいい子だから頼むね》

「勝手に頼まないでよ安室さん達に迷惑じゃん」

「…言われずとも◇◇さんのことは僕が守ります」

「え!?」

「これから先、◆◆を守る役目は俺が引き受けよう」

「ん!?」



《なんか、娘取られてパパ寂しい…》

「「……」」

《娘たち、ツッコミに疲れるなよ〜》

「謹慎とか言ってたけど、連絡は取れるんだよね?」

《うん、いつでもしておいで〜》

「期間はどれくらいなんだ?」

《数ヶ月程度さ。また決まったら連絡するよ》



じゃあね〜と言って神様は去っていった。





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