神様の気まぐれ
□第9話
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病院にて。
手術が終わったキュラソーの部屋に、◇◇と◆◆は座っていた。
キュラソーはまだ麻酔で眠ったまま。
お互いの左腕に巻かれた包帯には苦笑いするしかない。
恐らくこの程度で済んだのは、神様が守ってくれたのだろう。
あの近距離で爆風を受けてこれだけで済んでいるのは奇跡だった。
個室の扉からノック音がしたので返事をする。
安室、赤井、そしてコナンの3人が入ってきた。
「お姉さん達、ケガ大丈夫?」
「ありがとうコナン君。大袈裟な処置だけど骨にも異常ないし、大丈夫だよ」
「悪いがキュラソーはまだ眠ってる。そっとしておいてやってくれないか」
◆◆の発言に、コナンの眉が下がる。
公安警察とFBIの反応を待っているようだ。
「その必要はない」
聞こえたのは眠っているはずのキュラソーの声。
全員がそちらへ目を遣ると、彼女は目を覚ましていた。
「「キュラソー!」」
「貴女たちが助けてくれたのね。ありがとう」
「こちらこそ、子どもたちを助けてくれてありがとう!」
「キュラソーが生きていてくれて嬉しい」
「◇◇さん、◆◆さん、どういうことか説明してくれますか」
「お前達の言動には不可解なことが多すぎる」
しかしその頼みに、2人は首を横に振った。
現実味のない事実を話すより、黙っているほうがマシだと。
思わず彼らからため息が漏れる。
「言えるとすれば、私たちは皆さんに生きていて欲しかったということですね」
「その女は組織の人間なんですよ」
「元、ですよ。組織に戻る気なんてないもんね?」
「あら。どうしてそんなことが分かるの?」
「組織に戻る人間が、腹に鉄パイプ刺さったまま観覧車を止めようとはしない」
「でもお姉さん達、キュラソーが組織を裏切ることを知ってたみたいだったよ」
「「それは内緒」」
思わず男性陣は口顔をしかめ、キュラソーはクスクスと笑っている。
穏やかな顔で、知っていることは話すと言ってくれた。
これで公安とFBIが彼女に酷い取調べをすることもないだろう。
「あたし達は帰る。また見舞いに来るからな」
「お大事に。そうだ、イルカのストラップここに置いとくね」
「え!?お姉さん達帰っちゃうの!?」
「組織のことを聞きたかったんじゃないのか?」
「いいえ?」
「皆に生きていて欲しかっただけだと言っただろう」
それじゃ、といって2人は病室を出ていった。
「バーボン、ライ」
「…なんだ」
「彼女達に伝えておいて。困ったことがあったら力になるわ」
キュラソーの検査後、公安警察とFBIと小学生の4人で異様な取調べが行われた。
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