神様の気まぐれ

□第7話
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首都高湾岸線で大規模停電



昨夜からテレビではこのニュースで持ちきりだった。

身支度を整えた◆◆は部屋を出る。

今日は休日。

向かう先は◇◇のマンションだ。





「知らないうちに起きてたね、この事件」

「そうだな。…◇◇、大丈夫か?」

「え?」

「あたしは赤井さんと連絡ついたが、◇◇は安室さんと連絡つかないんだろう」

「NOCだと疑われてる頃だろうしね、仕方ないよ」

「あたしの前で強がるな。好きな人が危険なんだ、心配で当然だ」

「…◆◆、好き」

「知ってる。アニメならカーチェイスシーンを笑いながら見てたが、今はそうもいかないな」

「ぷっ…。首都高を逆走とか、車同士で衝突したりね」



劇場版のストーリーを思い出しながら2人はクスクスと笑った。

おかげで少し気分が上昇した◇◇は◆◆にお礼を言う。

自分たちがここで生きているように、彼らもここで生きている。

人間離れした身体能力を持っていると分かってはいても、好きな人の安否は気になるものだった。



「◇◇、どうする?正直あたしらに出来るかは分からないが…」

「うん。助けたいよね、安室さん達も…"彼女"も」



《オレは反対だなぁ》



突然部屋から聞こえたもう一つの声。

驚くよりも呆れた顔でそちらに顔を向けると、神様が立っていた。



「登場が突然なのはどうにもならないの?」

《神様だから、神出鬼没なんだよ》

「自分で言うな。で、何故反対なんだ?」

《君達も知ってる通り、この件は危険だからさ》



「ねぇ、カミ君。前から思ってたんだけど」

《ん?》

「私達が万一死んだとしても、また新しい子連れて来れば済む話じゃないの?」

「そもそも連れてきたのがあたし達2人だけとは思えないしな」



神様はその質問に、コクっと一度頷いた。

結論から言うと、確かにトリップしているのは2人だけではないらしい。

他の世界の神様たちが各々の世界から人口を集めているという。



《つまりトリップした人間達の中でも、この世界のことを物語として知っているのは君達しか居ないんだよ》

「だったら尚更、連れて来るのは私たちじゃなくても良かったんじゃないの?」

《言ったでしょ〜?君達を選んだのは本当に気まぐれだったんだ》



強いて言うなら 、降谷零と赤井秀一に対する愛情が目立って、それが神様の目にたまたま止まっただけのこと。



《でも、今まで限られた人間をこうやって見守り続けることってなかったからさ。愛着も湧くよ》

「「カミ君…」」

《それだけ君達がいい子ってことだね》



今まで聞くことがなかった神様の本音を少し聞けた。

家族から切り離されたこの世界で、彼なりの愛情と申し訳なさを感じる。

しかしその気持ちだけで2人は充分だった。



「もしあたし達が彼らを助けたいと言ったら、協力してくれるか?」

《残念だけどオレは神様だし元々この世界の管轄じゃない。下手な手出しは出来ないよ》

「なるほどな」

《でも君達を邪魔することもしない。最初に反対したのはオレが心配だっただけさ》



つまり、自由に行動していいということだ。

君達にどうしようもない危険が迫ったら勝手に手が出ちゃうかもね〜なんて。

本気かも分からない発言を残して彼は消えた。



「私達のこと心配してくれるの、お互いだけじゃなくなっちゃったね」

「カミ君のためにも無事に帰ってこないとな」



動きやすい服装に着替え、必要なものを持って2人はマンションを後にした。





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