神様の気まぐれ
□第3話
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会社での歓迎会があり、終電ギリギリ間に合った◆◆は駅からの帰り道を歩いていた。
お酒は軽くしか飲んでないので足取りは問題ない。
そこへ、前から歩いてきたのは大学院生の彼。
「おや、貴女はたしか米花百貨店で…」
「何で赤井さんがこんなところに」
あ。と思ったのもつかの間。
沖矢昴が開眼して◆◆を見た。
イマイチ異世界トリップした自覚が薄いと反省する。
「…来い」
捕まったわけでもないが視線だけで彼に従う気分になる。
怖いからか、好きだからかは分からない。
「逃げませんから突然ライフルやショットガンは勘弁してください」
「……」
「せめて返事ください」
人通りの少ない路地に連れ込まれる。
夜の暗い場所は少し不気味に思った。
沖矢は首につけた変声器のスイッチを切る。
「何故俺のことを知っている」
「理由と一緒に気持ちをぶつけても?」
「…なんだ」
一層彼の警戒が強くなったが◆◆はお構いなし。
「赤井さんの大ファンです!スパダリ最高!」
は?と首をかしげる赤井。
恐らくスパダリの意味も分かっていないだろう。
「ファン?」
「容姿端麗、頭脳明晰、スポーツ万能…」
「……」
「恋人を亡くした辛い気持ちを抱えながらも、組織に立ち向かっていく」
「!」
「一匹狼に見えて仲間思いなところ」
「何故…そんなことを知っている」
「だからファンなんです。貴方の幸せを願う数多の女のうちの一人です」
◆◆の真意を探っているのか、苦い表情を崩さない赤井。
「あ、さすがにそろそろ帰ります」
「…送って行こう」
「!?」
「名前は?」
「●●◆◆、です」
「◆◆か。知っているようだが赤井秀一だ。だが…」
「すみません、次回からは沖矢さんと呼びます」
「それも知っているのか」
家が近いのですぐに到着する。
送ってくれたお礼を言うと、沖矢は帰っていった。
「イケメン…ガチイケメン…スパダリ最高…」
早速明日◇◇と会う約束を取り付けたのは言うまでもない。
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