神様の気まぐれ
□第1話
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米花百貨店
◇◇と◆◆は買い物に来ていた。
「『お金あげるから2人で服買っておいで』って…」
「冬服しか部屋になかったからな。準備が雑すぎる」
「本当だよね。…あ、カミ君からメッセージだ」
「なんだ?」
「『服は買ってあげるけどアニメグッズ等は対象外』だって」
「「ケチ」」
メッセージを読んでから2人は店内を見て回る。
一緒に買い物をするのは久しぶりで随分はしゃいでいた。
「あ、私お手洗い行ってくる。◆◆どうする?」
「あたしはさっき見た服やっぱり買ってくる」
「分かった!じゃあ終わったら連絡してね」
「ん」
◆◆はそのまま先ほど気に入って悩んでいた服を買いに行く。
会計を済ませたところでフロア内から悲鳴が聞こえた。
咄嗟に通路へ出ると、目の前を足早に歩く眼鏡の男性が視界に入った。
「あ…っ」
「?」
「(赤井さんって叫びかけた…危ない!)」
声を出した◆◆に反応した赤井こと沖矢昴。
一瞬首を傾げたが、悲鳴が上がった方向へとまた向かっていった。
◆◆は沖矢を見られたことで興奮していたが、ふと我に帰る。
早急に◇◇と合流するため電話をかけるが繋がらない。
仕方なくメッセージを飛ばし、人が少ない方へ避難する。
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トイレから出て◆◆に連絡しようとしたその時、◇◇の耳に大きな悲鳴が入って来た。
フロア中がパニックになっている。
「あ、◆◆からメッセージ…?」
人混みを避けたというメッセージが届く。
空いているスペースを探していると、またメッセージが届いた。
どうやら人に流されて悲鳴が聞こえた方に居るらしい。
現場に移動したが、到底見つけれずキョロキョロと見渡す。
「どこー?……っ!?」
辺りを探す◇◇の視界に飛び込んできたのは、顔に火傷を負った男性。
顔は赤井秀一そのもの、だが本人ではない。
「安室さん…」
思わずつぶやいてしまって口元を抑える。
この距離では聞こえているはずがないが、火傷の彼が◇◇を鋭い視線で貫いた。
ふいっと顔を背けると、今度こそ◆◆を見つけた。
「◇◇!」
「◆◆!…すみません、通してください」
ようやく合流出来た2人は人混みを縫って少し離れた場所へ移動する。
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