桜の鷹

□第3部
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「――萩原隊員同乗、到着しました」



萩原くんに支えられながら車を降りる。

爆破予告の正午は既に過ぎており、現場には“彼”の姿があった。

無事なその姿に思わず駆け寄る。



「松田くんっ!」

「萩原が言ってたのやっぱりお前だったか」

「怪我は無い?大丈夫?」

「あぁ。何ともねーよ」



松田くんはふっと笑いながら私の頭に手を置いた。

ほっと息をつき涙腺が緩みそうになった瞬間、目暮警部と白鳥さんから声がかかる。

こんな状況でなければテンション爆上げだったろうけど、さすがにそんな気力はない。

松田くんも佐藤さんに声をかけられて何か話している様子。



「〇〇さんですね。事情は聞きました」

「悪いがこの中から見覚えのある人物が居たら教えてくれませんか?」

「現在、客は一歩も外に出さないようにしています。人が多いので難しいとは思いますが」

「…分かりました。たださっきもお伝えした通り覚えてる自信はあまり…」

「見覚えがあればで大丈夫です。では行きましょう」



白鳥さんに案内されるがまま歩き出そうとしたとき、ぐっと肩を引かれた。



「オレが付き添いますよ。さっきから知らない男に囲まれて◇◇ちゃんも心労が溜まる一方でしょうしね」

「病院の爆弾を解体した萩原君か。彼女とは友人だと聞いているが、犯人探しの担当は…」

「だったら俺も行きますよ警部さん。それなら文句ないでしょ」

「ちょっと松田君!?」



たった今まで佐藤刑事と話していた松田くんも、萩原くんの提案に便乗した。

うーん…過保護気味な幼馴染達と同じ匂いがしてきたなこの2人。



「…イケメン2人も連れて歩いてたら目立たない?」

「お、◇◇ちゃんの調子が戻ってきた」

「じゃあコレつけとけ」


松田くんは着けていたサングラスを外し、そのまま私に掛けてきた。



「ゎっ!」

「デカイだろうが無いよりマシだろ。犯人にお前の顔を覚えられても面倒だ。ほら、とっとと行くぞ」

「陣平ちゃん爆弾解体直後で気が立ってるからって落ち着けよ。じゃあ警部さん、不審者が居たら連絡しますんで」

「ちょっと松田君!?…警部、いいんですか?」

「ふむ…まぁ彼女も友人と一緒の方が安心だろうしな。今は報告を待とう」



ホークアイの視界にうつる、佐藤刑事の悲しそうな表情に思わず胸が締め付けられた。

そりゃ好きな人が私みたいなぽっと出の女に付き添ったら良い気はしないよね。

とはいえ私も、知らない刑事さんよりこの2人の方が遥かに安心できるので、何とか早く捜索を終わらせる方向に意識を向けた。





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