桜の鷹
□第3部
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11月7日
今日、松田くんの運命が決まる。
願わくは、彼が観覧車のゴンドラに近づかないことを祈るのみだ。
不安で押し潰されそうな自分を奮い立たせ、私は米花中央病院へ来た。
ここに仕掛けられた爆弾の場所は分からないため、小型の探知機を所持して。
「博士の付き合いの良さに感謝しないとね」
病院の人には落し物をしたと言い訳しながら探し回ること数十分。
ようやく見つけた…。
仕掛けてある場所が男性用トイレじゃなくて助かった。
聞こえてくるタイマーの音が私の体を硬くする。
「――もしもし」
あと出来ることは、あの人に連絡することだけだ。
−−−−−
『病院の地図記号!?』
「そうだ。それがどこの病院かは…おっとキャッチか。後で連絡する」
『ちょっと松田く』
佐藤との電話を切り、松田はキャッチホンを取った。
「萩…何の用だ」
『ふっ…4年前とは逆の立場だな陣平ちゃん。いいか、時間がないから良く聞け』
「あ?」
『本命の爆弾は米花中央病院だ。しかも俺が既に解体した』
「はぁ!?」
『お前はすぐにその爆弾を解体して降りて来い。病院の爆弾知らせてくれた子が今にも泣きそうだからな」
「おい…まさかそれって」
『じゃあ後で』
そのまま電話が切れる。
タイマーは残り4分を指そうとしていた。
「…ったく。これくらいの仕掛け、あと3分もありゃ充分だっつの」
工具箱にセットされた機能を起動した。
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