桜の鷹
□第1部
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〜〜♪
「ごめん私の電話。マナーモードにし忘れてた」
「自宅なんだから気にしなくていいだろ」
「うん、出て大丈夫だよ」
お言葉に甘えて、と言い廊下で電話に出る。
「はい。…うん。あぁそこやったよ。…うん、それでいいと思う。…くんも頑張って。はーいまたね」
電話を切って部屋に戻ると、2人が神妙な顔つきで宿題を睨んでいた。
「ど、どうしたの?2人にも難しいような問題でもあった?」
「 〇〇、さっき彼氏は居ないって言ってただろ」
「なのに今の電話相手、名前で呼んでなかった?」
会話内容が聞こえる距離で電話に出たのは私だから、聞かれてたのは気にしない。
ただ、名前で呼んでたら彼氏という疑惑は短絡じゃなかろうか。
2人にしては珍しい。
「名前呼びが彼氏なら…降谷くんと諸伏くんは付き合ってることになるけど」
「なんでだよ!」
「そういうことじゃない!」
「おぉ…息ぴったり。夫婦漫才ですか?」
はぁ…とため息をつかれてしまった。
そんなとこまでぴったりなの?
仲良すぎない?
「だから、男友達のこと、名前で呼んでるの?」
「え、あぁ…。さっきの子とか、まぁあと数人」
「ボク達だって友達だろ。しかもその友達より付き合いはずっと長いんだぞ」
え、え、これは…もしや…名前で呼んでいいよってことですか!?
素直じゃない子ども達からのプレゼントですか!?
「ボクはゼロと違って素直な方だと思うけど」
「子ども達って…同い年だろ」
「うわぁ!読心術!?」
「「全部声に出てた」」
「あ…すいません」
降谷くんは相変わらず呆れ顔、諸伏くんは苦笑いだ。
「ねぇ零くん、ヒロくん、この問題わかる?」
「……どれだ?◇◇」
「◇◇が分からない問題、ボクに分かるかな」
「2人とも私より全然頭いいくせに」
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