短編&リクエスト
□F
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少し早歩きで帰り道を進んでいく。
繁忙期はどうしてこうも退社時刻が安定しないのか…。
最近ハマっている深夜のミステリードラマが始まるまでに夕食とお風呂は済ませておきたい。
安室さんに怒られるからあんまり暗い路地には入らないようにしてるんだけど…今日だけ許して!
ドンッ
「きゃっ!ご、ごめんなさい…」
「……」
路地を出ようとしたところで、ちょうど曲がってすれ違う男性とぶつかってしまった。
軽く舌打ちされた気もするけど、何も言わずに去っていく人影が少し不愉快だった。
ぶつかったんだから悪いのはお互い様でしょ…。
ぷくーっと膨れながら、落ちたカバンと散らばった鍵やポーチを拾う。
「?こんなの入れてたっけ?」
見慣れないUSBメモリ。
博士に作ってもらったものでもないし、会社で使ってるものでもない。
さっきの人の…?
でもあの人カバンとか持ってなかったしなぁ。
職場の誰かのが入り込んでただけかもしれない。
ひとまず明日会社で中を見てみて、違ったら交番に預けよう。
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