短編&リクエスト
□No.5
1ページ/5ページ
とある病院の一室。
室内には、昨日と同じように眠る◇◇と、その傍らで項垂れる安室の姿。
それを見たコナンは思わずため息を吐いた。
「安室さん。ボクが代わるから少し寝てきたら?」
「大丈夫だよコナン君」
とても大丈夫には見えない安室の表情にコナンは顔をしかめた。
無理もないのかもしれない。
誰が予想出来ただろう。
あの"榛沢"が脱獄して再び◇◇を誘拐するなど。
例の組織は壊滅したというのに。
「怪我だけで済んだのは不幸中の幸いだ」
「安室さん…」
「骨や内臓に異常もない。痕が残るような傷もない」
「安室さんがすぐに◇◇さんを助けてくれたからだよ」
「なのに、どうして目を覚まさないんだ…」
すぐに駆け付けた安室によって榛沢は再び逮捕された。
その時には、既に傷だらけで衣服も切り刻まれた◇◇が気を失っていた。
取り調べで分かったことは、あの男がどこまでも腐った思考をしていることだけ。
「(彼女を孕ませて生ませた子どもごと解剖する気だったなんて…)」
俗に言う闇医者の集まりだった組織の男だ。
医師の人体への興味というには、あまりに狂気的なものだった。
コナンも取り調べの結果を知りたがったが、子どもに聞かせるような内容ではないため安室は黙秘している。
榛沢の犯行は未遂に終わったものの◇◇は眠り続けていた。
「…ぅ」
「「!!」」
◇◇がうっすらと目を開ける。
安室とコナンが覗き込んだ。
「◇◇!」
「◇◇さん気が付いたんだね!」
「…?」
コナンがナースコールを鳴らす。
安室はすぐに◇◇の手を握った。
本当は今すぐにでも抱き締めてあの男の感覚を払拭したかったが、◇◇は怪我をしている。
「もうすぐ先生来るからね!」
「…ボク、私のこと知ってるの?」
「…え?」
「…◇◇?」
安室とコナンの表情が一気に青ざめる。
呆然としているところへ担当医師が入ってきた。
外傷について問題はない。
.