短編&リクエスト

□後
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目を覚ましてさっきまでのは夢だと気付いた。

心配してくれた蘭ちゃんと園子ちゃん、そしてコナン君に謝る。

彼女たちが売店に行くといい、入れ違いに入ってきたのは安室さん。

一番に体調を気遣ってくれる。



「大丈夫です。助けてくれてありがとうございました」

「当然のことをしただけですよ。それにしてもどうして先に海へ入ったんですか?」



皆を待ってた間のことを話した。

海へ入った理由。

そこで見つけた髪飾り。

夢の内容まで話すと、安室さんも女将さんから聴いたらしいお話を教えてくれた。



「つまり、海神様に返してあげたかったからあんなに強く握ってたんですね」

「うーん…?意識無かったから覚えてないですけど」

「僕が抜き取ろうとしても離しませんでしたから」

「え!?私、安室さんの力に勝っちゃったんですか!?」



それ凄すぎますよね!?と食い気味に聞けば、軽く抜き取ろうとしただけだという。

そりゃ私が彼に勝てるわけないか。



安室さんも消えた洞窟の謎が気になるらしく、明日2人で見に行こうということに。

夢では確かにあの岩場には洞窟があった。

海神様が探しているのであればすぐにでも返してあげたい。



その夜、大浴場で温泉に入っているとまたあの噂が耳に入ってきた。

小舟に乗った女性が海に頭を突っ込んで何かを探している。

もしその女性が海神様なら、やっぱり早く返してあげたい。



蘭ちゃんと園子ちゃんが眠ったのを確認して、私はこっそり着替えて外に出た。

ごめんなさい安室さん…

大人にもなって夜中に無鉄砲なことするなんて非常識かもしれないけど…

大好きな人からの贈り物だとしたらやっぱりすぐに返してあげたい。



「無鉄砲だと自覚してるからタチが悪いんですよ」

「!?」



旅館の裏口から出たところに待ち構えていた安室さん。

ある意味不審者や幽霊よりも怖い…。



「あ、安室さん…」

「行きますよ」

「…え?」

「心配性でお人好しな恋人の無鉄砲に付き合います」



ニコッと笑って歩き出す彼。

優しい彼が大好き。

海神様も、こんな風に大好きな人から貰ったものなら絶対早く返して欲しいはずだから。



「ありがとう零さん!嬉しい!」



前を歩く安室さんの手を掴むと、一瞬驚いたみたいだけどすぐ嬉しそうに握り返してくれた。

向かう先はあの大きな岩場のある海。





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