短編&リクエスト
□C
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ーーカタッ
物音がして目を覚ますと、水を持ってきてくれた零さんが居た。
今日はポアロのバイトの日じゃ…?
「目が覚めましたか?コナン君から、最近◇◇さんの体調が悪そうだと聞きまして」
何故直接言わなかったんだと不機嫌な様子。
思わず苦笑いを返してしまった。
「病院に行ったけど風邪じゃなかったですし。体が怠いだけなので」
「ですが随分顔色が悪いですよ。食事は?」
「あんまり…胃が受けつけなくて」
「…はぁ。何か食べやすいものを作りますから待っててください」
「零さん!」
思わず彼の服を掴んだ。
今食べ物を持って来られても食べられない。
言わないと…ちゃんと話さないと…
泣きそうな顔をしていたのか、零さんはベッドに腰掛けてくれた。
「何があったんですか?」
「……あのっ」
次の言葉が出てこなくて視線を彷徨わせる。
話しやすいようにと、彼がこめかみに、頬に、キスをくれた。
唇はどんどん下へと降りていき、服のボタンに手がかかったときーー
「っ…だめ!」
「!?」
思わず彼から距離を取り、咄嗟にお腹を庇う姿勢になる。
その様子を見た零さんが驚く。
「◇◇、」
「あ…ちが、これは…」
「ちゃんと話してくれるか?お前の口から聞きたい」
微笑んだその表情に、その言葉に、思わず涙が滲んだ。
「あの…」
「うん」
「あかちゃんが…出来たの…」
そこまで言うと、零さんは軽いキスをしたあと柔らかく抱き締めてくれた。
耳元から、ありがとうという言葉が聞こえて涙が止まらなくなる。
「でも…っ、この子…」
「何をそんなに不安になることがある?俺が何も考えてないとでも?」
呆れ顔で私を見る零さんに、思わず涙がピタっと止まった。
「まず、子どもが出来る抱き方と、出来ない抱き方くらい把握してる。子どもが出来てもいい覚悟があるからこそだ。分かるな?」
「はい…」
「次。◇◇の考えてることはなんとなく分かるが…」
コツンと額を合わせて見つめ合う。
「俺とお前の子だ。
危ない目に遭ったって切り抜ける強さを持って生まれてくる。
それでも危険なことに巻き込まれるなら、◇◇ごと俺が守るよ」
その直後に続くプロポーズの言葉に、私の目からまた涙が流れた。
→あとがき