第1章
□第8話
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ベルツリー急行ミステリートレイン
先日園子ちゃんが用意してくれたパスリングで乗車させて貰えることになった。
最初は素直に楽しもうと思ってたんだけど、沖矢さんに協力を求められてそうもいかない。
ーー◇◇、悪いが当日はなるべく彼女の傍にいてくれ。
彼女って、哀ちゃん?でも車両が違うからずっと傍には居られないかも…。何かあったんですか?
ーーなるべくで構わない。杞憂で済めば何も問題はないからな。
あんなこと言われたら気になって仕方ないよ。
園子ちゃんにお礼を言いながら、私の背後にいる哀ちゃんをホークアイで見る。
しかも哀ちゃん風邪ひいてるみたいでそっちも心配。
まぁ今のところ咳だけで、辛そうではないから大丈夫かな。
蘭ちゃんと園子ちゃんと話しているところに、真純ちゃんが現れた。
挨拶するために近付きつつ真純ちゃんの死角になるように、哀ちゃんを私の背中に隠す。
車内に乗り込んでしばらくすると、コンコンと個室の扉を叩く音が聞こえた。
入り口に近い私が出ると、そこには誰も居らず手紙が置かれていた。
周辺にも人影は見えない。
蘭ちゃんが私を呼んだ
「◇◇さん?」
「誰も居なかったけどコレが落ちてたよ」
中身を開けると、ミステリー事件の共犯者に選ばれたと書かれていた。
なるほど、犯人と被害者と探偵だけではないわけか。
これはコナン君が楽しみそうだなと思わず笑ってしまう。
さて、どこまで彼が騙されてくれるかな。
3人で個室から出て被害者役の男性と入れ替わっているところに偶然真純ちゃんが通りがかったのでネタばらし
「なるほどね」
「真純ちゃん、ミステリー楽しみにしてたのにタイミング悪かったね」
「いや、たまには仕掛け人になるのも面白そうだ。ボクも混ぜてよ」
4人で待機してると、部屋の扉が勢いよく開いた。
さすがに驚いて入り口をみると、コナン君が不思議そうに7号車かと尋ねてる。
園子ちゃんが呆れ顔で8号車だと伝えるとしぶしぶ帰っていった。
入り口から僅かに見えた哀ちゃんの顔色が悪いように見えた。
心配になったところでスマホのバイブが1秒だけ鳴る。
沖矢さんからの合図だ。
髪を整えるフリをしながらBluetoothイヤホンを片耳だけ付ける。
イヤホンから聞こえるのは沖矢さんからの指示。
でも動くのはまだまだ先。
そんなことをしてるうちに、私たちがミステリーの共犯者であることがコナン君にバレた。
まぁ一回本気で騙されてくれたから良しとしよう。
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