第1章

□第7話
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高木刑事が拉致された翌々日、彼は佐藤刑事によって救出された。

本当に良かった。

嬉しくて思わず涙したけど、タブレット端末にうつった二人のキスシーンに思わず涙も引っ込んだ。

知人のラブラブシーンというのは何とも照れる。



そんな事件があってからしばらく落ち着いていた今日この頃。

いや、正確にはコナン君の周りでは相変わらず事件勃発してたみたいだけど。

私は連休が終わり、時々仕事帰りに博士の家へ寄ったり泊まったり。



そして昨晩蘭ちゃんに誘われて、今日はポアロでランチをすることに。

園子ちゃんが誘ってくれたミステリートレインのパスリングが届いたから渡したいと言われた。

お店のドアを開けるとそこには既に蘭ちゃんと毛利さんが居た。

そして仕事中の安室さんも。



「◇◇さん!」

「蘭ちゃん、毛利さん、安室さん、こんにちは」



お邪魔しますと言って蘭ちゃんの隣に座る。

メニューを注文すると安室さんはカウンターへ戻った。

早速パスリングを受け取り、あらかじめ用意していたネックチェーンを使って首につける。

蘭ちゃんは不思議そうな顔をしたが、派手な指輪は会社で注意される可能性があることを伝えると納得したようだ。



「そういえば、今日はコナン君居ないんだね」

「今日は群馬のキャンプ場に行くって言ってました」

「へぇーコナン君はキャンプですか。いいですねぇ」



安室さんが料理を運んできてくれた。

いただきます、と言って食べ始めたところで蘭ちゃんが不思議そうな顔を向けてくる。



「でも◇◇さんに連絡してないなんて珍しいですね。コナン君、出かけるときはいつも◇◇さんに言ってるのに」

「そんなことないと思うけど…。あれ、コナン君からメッセージ来てた」

「コナン君から?」

「うん。今日は群馬のキャンプ場に行くから博士の家に行っても誰も居ないよって」

「ホラやっぱり!」

「◇◇さんはコナン君と本当に仲が良いんですねぇ」

「そうだと嬉しいですね。子どもたち可愛いですし。もちろん蘭ちゃんもとびきり可愛いけどね!」

「もう◇◇さんてばまたそうやって!」



照れてる蘭ちゃんも可愛い!と言いたいけどこれ以上言うと彼女が拗ねてしまうのでやめておく。

安室さんがキョトンとした顔で見てるけど気にしない。

可愛いもの大好き、これが私だ。




昼食を終えて食後の紅茶を飲んでいると、蘭ちゃんの携帯が鳴った。

相手は真純ちゃんらしい。

ちなみに世良真純ちゃんとは既に面識がある。

以前、会社近くの喫茶店で蘭ちゃん園子ちゃん真純ちゃんの三人がお茶をしてたところに私が通りかかり、自己紹介と軽くお喋りしたことがきっかけ。

コナン君と仲がいいことに食いついていたけど、彼女はコナン君をかなり気に入ってるみたいだ。

博士の車について話していた蘭ちゃんが私に携帯を差し出してきた。



「世良さんが、◇◇さんが居るなら話したいって」

「うん。…真純ちゃん?◇◇だけど」

『◇◇さん久しぶり!突然だけど連絡先教えてよ!』

「連絡先って、私の?」

『決まってるじゃないか!』

「そういえば交換してなかったね。えーっと…」



電話番号を伝えると満足したらしく、蘭ちゃんに電話を返す前に切ってしまった。

そんな急いで確認することだったんだろうか?

その時、背後に居る安室さんが蘭ちゃんの携帯を鋭い目でずっと見ていることに気付いた。

さっきまでは食事と電話に気を取られててホークアイを使ってなかったからいつから睨んでるのか分からないけど、思わず体が震えてチラッと安室さんを見る。

安室さんが笑顔で私を見てるけど、目が明らかに笑ってない。

いつもならコナン君が上手くかわしてくれるけど、今日はそうもいかない。

どんなに彼についていって事件に携わっても、所詮平凡な私には頭の良い人たちには敵わない。

この中途半端にかち合った視線をどうしようかと悩んでいたら



「◇◇さん、この後予定あるんでしたっけ?」



蘭ちゃんが声をかけてくれた。

天使の一声!!



「あ、うん!新一君の家に本を借りに」

「新一の家に?」

「私が読みたかった本が新一君の家にあるからって、コナン君が新一君に連絡して貸してもらえることになって」



というわけでそろそろ行くね。

お代を払って足早にポアロを出た。

背後が見えることに気づかれたか

それとも人の視線に敏感だと思われてるか

どちらにしろそれは彼にとって不都合なのかもしれない。





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