第2章
□第34.5話
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現在、ピアス型発信器は製作中だそうだ。
そんな大層なことをするくらいなら発信器をそのまま持ち歩くと言ったが却下された。
これ以上拒否するとまた説教タイムが始まりそうだったのでやめた。
製作しているうちに穴をあけて、安定させておこうということらしい。
安室さんの手にはピアッサー。
「◇◇さん、そろそろ…」
「分かってるんです!また冷やさないといけなくなるんですよね!でも心の準備が…」
「やはりやめますか?」
「やめません!」
意気込んだはいいもののやはり緊張する。
「安室さん5秒カウントダウンしてください…」
「分かりました。始めますよ?」
5…と数え始めたところでぎゅっと目を瞑る。
4…動かないように。
3…
2…
1…
ちゅっ
唇に暖かいものが触れ思わず目を開けた瞬間、耳元からガシャンと音がして軽い衝撃が走る。
目の前に映るのは非常に近い安室さんの顔
「んー!」
「痛かったですか?」
「おかげさまで大丈夫でした…」
不意打ちのキス、心の準備のない至近距離。
さっきまでとは違う意味で心臓が高鳴っていた。
用意していたクリアピアスをつけてそそくさと離れる。
後日、無事出来上がった発信器付きピアスを受け取った。
「可愛い!ありがとうございます!」
「肌身放さずつけておいてくださいね」
「はい!」
その日以降、安室さんが博士作USB端末を見ても苦い顔をしなくなった。
可愛いなと思っていたので残念だが、それは胸のうちに秘めておく。
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