第2章
□第34話
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翌日
仕事終わりにマンションまでの帰り道を歩いていたら、昨日の子が現れた。
「まだ別れてないんですね」
「……」
「早く別れてください。貴女とあの人じゃ釣り合わない」
ここまでハッキリ言われると、やはり心が悲鳴を上げる。
しかし彼女の言ってることは事実だろう。
やっぱり、彼にはもっと相応しい女性が
「別れませんよ」
「あ、安室さん!?」
「まったく…目を話すとすぐこれだ」
すみません、と思わず俯いた。
安室さんが私の肩を抱く。
彼女から非難の声飛んでくるのを構えたが、自分からこの手を振り払うことは出来ない。
「と、言うわけです。お引き取りください」
「ふざけるな!汚らしい手で彼女に触るな離れろ!」
「それは出来かねます」
「……ん?」
今、彼女はおかしいことを言わなかったか。
思わず俯いていた顔を上げる。
安室さんと彼女がお互いを睨んでいた。
んんん???
「アンタみたいな軽いやつが◇◇さんを幸せに出来るか!」
「少なくとも軟弱な貴方よりも彼女を守れる自信はありますよ」
「◇◇さんは可愛いものが好きなんだ。オレには利点なんだよ」
男の子だったのーーー!?
驚愕の事実に目が点になるが、言い合いを続けてる二人には気付かれていないようで良かった。
ふいに彼女ーー否、彼がこちらを向いた。
「探偵とバイトなんて安定しない職について女性客にキャーキャー言われてヘラヘラしてるような男より、オレのほうが◇◇さんを幸せに出来る!」
すごい迫力だが、隣にいる安室さんが牽制している。
彼は春から公務員になることが決まっているらしい。
好きな人以外に笑顔は振り撒かないと。
そして見た目は私の好み通り可愛くしていると。
確かに申し分なく可愛い。
考えてることがバレたのか安室さんが睨んできた。
ごめんなさい
「優しくて子どもたちの面倒見も良くてお人好しで…そんな貴女がなんでこんなちゃらんぽらんと付き合ってんだ!」
「僕も嫌われたものですね」
「告げ口は気が引けるけど、このまえ昼間っから金髪美女を車に乗せてたんだぞ」
「その女性なら◇◇さんも知ってる人ですからご心配なく」
「(ベルモットかー)」
「◇◇さんが好きなんです!そんなヤツと別れてオレと付き合ってください!」
告白慣れなんてしてない私は思わず顔が赤くなる。
学生特有の若さと真っ直ぐさに心打たれた。
嬉しいことだが、その気持ちを受け取ることは出来ない。
心苦しくて、でもまっすぐちゃんと伝えないと失礼だ。
ごめんなさいと伝えると、まだ諦めないからと言い残して去っていった。
コナン君とは別の意味で嵐のような子だった。
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