第2章
□第33話
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その日の夜、自宅で寛いでいると安室さんが来た。
ポアロの仕事が終わった帰りのようだ。
部屋へ招き、飲み物を用意していると後ろから抱きしめられた。
「あ、安室さん?」
「僕のことは信用出来ませんか?」
「へ?」
「顔がいいと言われても、信用出来ないのなら僕にとっては褒め言葉でも何でもありませんよ」
先日歩美ちゃんが暴露したあれか!と思ったときには彼の手がパジャマの中に入ろうとしていた。
「ちょ、誤解です!それを言われたのは警視庁前で会ったときですよ!?会うのが二回目の人を『イケメンだから』って理由で好きになるほうがおかしいでしょう?」
「ですが僕はその時には貴女のことが気になっていましたよ」
「それは安室さんが"目"のことを知らないのに、私が変な行動を取ったから」
「そういう意味ではありません。あの時僕にお礼を言ってくれた◇◇さんの笑顔が、頭から離れなかったんです」
「え…」
「◇◇さんを好きだと自覚したのはもっと後ですが、今思えばあの時から僕は貴女に惹かれていたんでしょうね」
とんでもない告白に、心臓が高鳴る一方だった。
僕の方が長い間好きだということですね、なんて。
そんなこと言ったら
「そんなこと言ったら私だって、誘拐されたコナン君を助けようとする真剣な零さんに惹かれてたのかなって思います」
正義感の強い零さんが垣間見えていたあの時に。
とにかくこの体勢は心臓の音を聞かれてそうで嫌なので早々に離して欲しい。
と、思ったことをそのまま伝える。
「◇◇の素直さは、僕には毒ですね」
「む。どういうことですか」
「こんな体勢でそんな可愛いことを言った場合、先に進んでもいいという答えに変わるんですよ」
「変わりませんよ!?そのままの意味で受け取ってください!」
「生憎僕は素直じゃないので。いただきます」
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