第2章

□第29話
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気付けばキッドとの対決は終わっていた。

後からコナン君に聞いたところ、もともと宝石を盗るつもりはなかったんだとか。

彼の探している宝石というのも気になるけど、今回も違ったらしい。





あれから三日後。

明日は安室さんが帰ってくる予定の日だ。

仕事からの帰り道、夕食の材料を買って帰宅する。

さすがに汗をかいているため、夕食の支度よりも先にお風呂に入った。

この暑さの中、ハイネックを着ている沖矢さんは本当にすごいと思う。

お風呂から上がってリビングへ戻る。



「パジャマではないんですね。残念です」

「安室さん!?」



にこっと笑った安室さんが部屋で寛いでいた。

帰ってくるのは明日のはず、というか鍵をどうやって開けた!?

と混乱していたがそういえば彼はピッキングが出来たことを思い出す。



「予定より早く終わったので約束通りあなたのところへ来たわけです」

「嬉しいです…おかえりなさい。お怪我は?」

「見ての通り。元気に帰ってきましたよ」



でも不法侵入ですからね!と言っても彼は笑うだけで何も言わなかった。

一緒に夕食を食べることになり、私は夕食の支度を。

帰ってきたばかりならお風呂に入るかと聞いたが、それはどうやら済ませてきたらしい。

となると警察庁のほうの仕事だったのかな、となんとなく思った。



「美味しいです」

「良かった。安室さんには敵わないと思いますけど」



いただきます、と二人で食べ始めたところで安室さんが感想を述べてくれる。

そういえば今更ながら安室さんが何かを食べてるところを見るのは初めてかもしれない。

コーヒーや紅茶を飲んでいるところは見たことがあるが。

それを口に出せば、彼はコクっと頷いた。



「ご存知かもしれませんが、職業柄あまり他人が作ったものは口に出来ないので」

「なるほど。だからご自分で料理するんですね」

「えぇ。ですから外食もなるべく控えています」

「…って、あれ!?じゃあコレ食べちゃダメじゃないですか!」

「◇◇さんが作るものが危険なはずないでしょう。コレは特別です」



当たり前のように言われたけど、特別という言葉に照れる。

まだまだ彼の知らないところは沢山あるが、新しい発見があるのは一緒に居て楽しい要因の一つでもある。

食事をしながら、食べ物では何が好きか、普段どういう生活をしているかなど他愛もない質問のやりとりをした。

そろそろ時間も遅くなるので泊まっていくかと思いきや、今日は帰るという。

そうですか?と首をかしげたが、彼は苦笑いするだけだった。

玄関まで見送ったところでキスが降りてくる。



「明日も仕事でしょう?今日泊まると休ませてあげられそうにないので」



お休みなさい、と言って出ていった。

その場で顔を真っ赤にして腰が抜けた私はおかしくないと思う。





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