第2章

□第27話
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気づけば事件は解決し、キーボードの女性が連行されていた。

真純ちゃんのお兄さんの名前は『赤井秀一』

思わずコナン君をチラッと見たけど、目が合うことはなかった。

そのまま視線をずらすと、安室さんが難しい顔で考え込んでいる。

今日はさすがに練習は出来ないとなり解散することになった。

事件後の事情聴取を終えた安室さんが背後から近づいてくる。

振り向こうとしたら、後ろから両肩を抱きしめられて振り向くことが出来なかった。



「安室さん?」

「…聞かないんですか?」

「え?安室さんの様子がおかしい理由ですか?」

「やっぱり気付いてたんですね」

「はい。でも別に聞かないです」



私は彼に言った。

貴方が焦がれている人が誰かは知らないし、その人の代わりになることも出来ない。

私が出来るのは、何事もなく貴方の傍にいることだけ。

それをそのままもう一度伝える。



「でも、それは今までの私です」

「え?」

「別にわざわざ詮索なんてしません。ただ、安室さんが話したくなったときに安心して話してもらえるような人間になります!」



貴方に助けてもらってばかりの弱虫では居られませんから。

首だけを彼に向けて笑うと、珍しく泣きそうなでも嬉しそうな表情を見せてくれた。

「あ、でも…」

少し言い淀むと、安室さんが首を傾げる。

耳を貸すように言うと、そのまま顔を近付けてくれた。



「も、元カノさんの話とかはさすがにまだ耐えれそうにないので、もうちょっと待っていただけると助かります…」



それを聞いた安室さんが吹き出した。

ひ、ひどい!こっちは真剣なのに!

あんなに切なそうな顔してる相手が女性だなんて、まだ受け入れられる余裕はない。

顔を真っ赤にして言うだけ言ってそっぽを向く。

今度は彼が私の耳元で囁いてきた。



「こんなに素直で強かな可愛い恋人が居るのに、他の女性のことなど頭に入ってきませんよ」



それは極端すぎて流石に嘘だろう。

怪訝な表情を向けていたらコナン君が照れたような呆れ顔で近付いて来た。



「あのさぁ…そういうのは家でやってくれる?」

「コナン君!…あ、安室さんいい加減離してください!」

「おやコナン君。普段は大人びている君にもさすがに刺激が強かったかな?」

「はーなーしーてー」



暴れていると後ろから両肩の拘束は外れたが、隣に並んで腰を抱いてきた。

今日はスキンシップ過多ですね!?

するとコナン君が私に何か差し出す。



「博士から預かってたの忘れてた」

「あ!こないだ壊されたUSB端末!」

「新しいの作ったって」

「ありがとう!博士にも電話しておくね!」



コナン君はそのまま蘭ちゃん達とともに帰っていった。

安室さんは私を送ってくれることに。



「僕としても、◇◇さんには発信器を付けたいですねぇ」

「え、なんでですか?」

「貴女の居場所を分かるのが僕ではなくコナン君だというのが不愉快です。あとちなみに僕は貴女から元カレの話なんて一生受け入れられませんからね」

「(さっきの話また引っ張ってきた!)」

「僕はしつこい男ですから」

「(思考バレてる)…まぁ一個付けてるのも二個付けてるのも変わらないですから気にしませんけど、普通発信器ってそんな簡単に手に入るものなんですか?」



ましてや公安警察が使うものなんて相当高額かつハイスペックなんじゃ…

思考が読まれてるかのようにニッコリと返され、それ以降は答えてくれなかった。

…冗談だったということにしておきたい





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