第2章

□第34.5話
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「というわけで」

「どうしたんですか安室さん?」

「そろそろ本気で◇◇さんに発信器をつけようと思います」



どういうわけだ。

確かに以前、発信器をつけたいと言われたことはあるが本気だったのか。



「僕からの贈り物として、アクセサリー型にしようと思いますが何がいいですか?」

「そんな高価なもの頂けません!」

「スマホに盗聴器ごと仕込まれるのとどちらがいいか選べ」

「…すみませんでした」



恐ろしい提案は聞かなかったことにする。

しかしアクセサリーとなると難しい。

派手な指輪は会社で注意される可能性があることはミステリートレイン同様。

となると



「僕はネックレスにしようと思っているんですが」

「ネックレスは…ちょっと怖いです」

「怖い?」

「もし事件で人質にされたりすると壊されるか首を絞められる危険性が…」

「僕としてはその発想に至る貴女が怖いです」



巻き込まれ体質を自覚していることは褒められた、がイマイチ褒められた気がしない。

私としてもネックレスが一番助かるのだが。

ブレスレットは、事件に関わらなくても壊してしまいそうだ。

発信器の相場なんて知らないので余計に慎重に考えてしまう。



「あ!」

「何か思いつきましたか?」

「ピアス!ピアス型の発信器って出来ますか?」



今、漫画で言えば私の頭上にランプが光った状態だ。

安室さんは首を傾げている。



「出来ますが…ピアスですか?イヤリングにしますか?」

「いえ、ピアスにしてください!」

「ですが◇◇さん、ピアスホールは開いてないですよね?」



そう、私の耳はピアスをつけられる状態ではない。



「無理に傷をつける必要はありませんよ。他の選択肢もあるんですから」

「でも、安室さんの為につける傷なら私は嬉しいです」

「…相変わらず貴女は僕を喜ばせるのが上手いですね」



仕方ないと言いながらも喜んでくれているみたいだ。



「そうだ!安室さんがあけてくれますか?」

「病院でなくていいんですか?」

「せっかく安室さんの為にあけるんですから、安室さんがあけてください」

「…今日は何か特別な日ですか。どうしたんですか?」

「?嫌なら病院でやってもらいますから別にいいですよ?」

「そうじゃない。お願いが可愛いと言ってるんです。というかそこまで言っておいて簡単に引き下がらないでください」



嬉しそうな不機嫌そうなよく分からない表情をしている。

私としてはやってくれれば嬉しいというだけで、嫌なら無理に頼むことでもないと思っているだけだ。

安室さんとしては引き下がらないで欲しかったらしい。

友達とはまた違って、彼に甘えるのは思ったより難しいな。





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