第2章

□第30話
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そうこうしていると、予約していたらしい米花大学演劇サークルのお客さんが来た。

でもその人はお腹の調子が悪いとかでトイレにこもってしまう。

その後、続々と来店するサークルのお客さんたちは全員集まったらしく、一人の男性がパソコンを取り出した。



「ボクたちー?ちょっと音出るけどヨロシクちゃん♪」

「あ、はい」



返事をしたところで、男性がパソコンのスイッチを押せども電源が入らない。

ポアロの電気を使うためにコンセントを差し込むと火花が散って店内の照明が落ちた。



「きゃっ!?」

「◇◇さん大丈夫?」

「ごめんちょっと驚いただけ。大丈夫」

「梓さんブレーカーを!」

「は、はい!」



ぐっ…うわああああああ



「え!?」

「梓さん早く!」



大慌てで梓ちゃんがブレーカーを上げると、さっきの男性が血を流して倒れていた。



「おい、何の騒ぎだよ」

「「きゃああああああああ」」



血の気が引いて自分の顔が真っ青になっているのが分かる。

怖いのに男性から目を離せないでいたら、勢いよく体が引っ張られた。

男性に背を向けるように、安室さんが抱き締めてくれている。

安心する匂いに包まれて涙が滲んだ。



「◇◇さん絶対に視点を変えないで。梓さん!救急車と警察を呼んでください!」

「は、はい!」

「せやけど警察呼ぶまでもないで。犯人の手ェや袖口にもこの兄ちゃんの返り血が…」



会話から察するに、店内に居た人間には誰一人返り血がついていなかったらしい。

せっかく平次君と和葉ちゃんにとって大切な日になるはずだったのに。

そこまで考えて、ようやく自分が落ち着き始めたことが分かった。



「安室さん、ありがとうございます…」

「救急車と警察が来るまで、もうしばらく頑張ってください」



こくんと頷いて、彼の支えてくれる力に甘えた。





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