第2章
□第29話
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「えぇ!?そっくりさんだった!?」
「じゃあやっぱり梓さんは昨夜のホールには行ってないんですね?」
「え、えぇ…そんなに似てました?」
「えぇ、僕もすっかり騙されました」
その場はベルモットの話題で持ちきりだったが、しばらくすると蘭ちゃん園子ちゃん梓ちゃんは談笑を始めた。
コナン君は私を引っ張ってカウンター席へ移動し、安室さんと三人で小声で話す。
「◇◇さん、ベルモットに何かいわれてなかった?」
「うん…でも意味がよく分からなくて」
「何を言われたんですか?」
「『あなたは私が飼いたかったのに残念だわ。あまり遠くへ飛んでいってはダメよ』って」
「か、飼いたかった?」
「恐らく◇◇さんを鳥に例えてるんでしょうね。小鳥と称して◇◇さんを気にしていたようです」
「それって…まさか!?」
安室さんの言葉を聞いたコナン君の顔色が変わる。
そういえば小鳥ちゃんって呼ばれたような…?
「◇◇さんの目に気付いてるってことだよね?」
「あぁ、しかしベルモットも◇◇さんが危険な目に遭うことは本意じゃないみたいだ」
「私、彼女とは直接対面したことはないハズなんだけど、どうしてだろう」
「とにかく気をつけるに越したことはないからね!分かってる!?」
小学生に注意されてる大人の図は随分と滑稽だろうな。
とりあえず苦笑いしながら分かってるよと答えておいた。
あまり三人で長話していても怪しいので、コナン君は蘭ちゃんたちの方へ戻っていった。
「ところで、随分沖矢さんと仲が良いみたいですねぇ?」
「え、沖矢さん?」
「えぇ。『昴さん』と呼んでいたようですし」
機嫌が悪い、とても。
見てわかるくらい。
「昴さんって呼んでましたっけ?普段は沖矢さんなんですけど、コナン君につられちゃいましたかね?」
「僕のことも名前で呼んでくださっていいんですよ?恋人なんですから」
「こいっ…いや、あの、そ、そうなんですけど」
「何か問題でも?」
え、言うの?
恥ずかしすぎて死にそうなんだけど呼びたくない理由言うの?
でも逃してはくれなさそうだ…
「せっかく名前で呼ぶならやっぱり本物の方がいいので…普段は安室さんで許してください…」
そういうと彼の機嫌はなおったらしい。
可愛いから許してあげます、と言ってカウンター奥に戻っていった。
会話は聞こえてないだろうけど、その様子を見ていたらしい女子三人組がニヤニヤしていた。
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