第2章
□第28話
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警察が到着して遺体が運び出されたところで事情聴取が始まる。
どうやら波土さんの胸ポケットに「ゴメンな」の文字が入っていたらしく、筆跡鑑定をするらしい。
安室さんの様子がおかしいのは分かっていたけど、彼が話してくれるのを待つと決めたから何も言わない。
ベルモットが常に安室さんの傍にいるため、私もなんとなくコナン君や沖矢さんの傍にいるようにする。
私が居ることで彼の立場が危うくなってはいけない。
沖矢さんが私の隣で名前と『ゴメンな』の文字を書いていると安室さんが近付いてきた。
「左利きなんですね」
「えぇまぁ…いけませんか?」
「気にしないでください。殺したいほど憎んでいる男がレフティなだけですから…」
常に日本を守ろうと頑張っている安室さんが、こんな顔をするなんて…
その時、視界に映ったマネージャーさんの肩についている光るモノ。
ピクっと反応した私に安室さんと沖矢さんが気付いたみたいだが、彼らが何か言う前にコナン君のところへ走る。
彼は蘭ちゃんと一緒に、ばら撒かれた証拠品を集めているところだった。
耳元で囁くと、何かに気付いた表情になった。
そのまま鑑識さんのところへ走っていく。
三人は犯人とトリックが分かったらしい。
今回も私のお役目は終了かな。
蘭ちゃんが梓ちゃんに話しかけている。
ずっと怪しんでる様子だったから本物の梓ちゃんではないことに気付いたのかもしれない。
二人で何かを話したあと、ベルモットは私の方へ近付いてきた。
「本当はあなたを飼いたかったけど、ガードが固くて残念だわ」
「え…?」
「あまり遠くまで飛んで行ってはダメよ?可愛い小鳥ちゃん」
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「あの子、いつの間にあなたのものになったの?」
「なんのことですか?」
「あら、しらばっくれるのね。あの子は私が欲しかったのに残念だわ」
二人きりの車内で不穏な空気が流れる。
「僕としては、あなたが他人にそこまで興味があったことに驚きです」
「要らなくなったらいつでも言ってちょうだい。私が引き取るわ」
「そうはなりませんからご心配なく」
「随分ご執心なのね。まぁ、あの子のことも傷つけないならそれでいいわ」
何故ベルモットが彼女を欲しがっているのかまだ掴めていない。
だが、しばらくは手を出さないというので危険ではないようだ。
もちろん警戒は怠らないが、ベルモットとしても彼女が危険に遭うのは良くないらしい。
お互いの利害が一致しているなら問題はないだろう。
この先何があっても、彼女は僕が守る。
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