第1章
□第11話
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「マジか?石栗の奴、まだ部屋から出て来ねぇのかよ?」
「何度もノックしたんだけど…」
「部屋に鍵かけて寝てるみたいでさ」
琴音さん達が相談していると、突然石栗さんの部屋辺りから大きな物音がした。
何故か合鍵も無いらしく、ベランダ伝いに部屋の様子を見ようということになった。
「なんなら僕が鍵を開けましょうか?そういうの…割りと得意なので」
二本の針金を使ってアッサリ石栗さんの部屋の鍵をあけた安室さん。
扉を開けようとしたけど、何かに塞がれて開かない。
「開けるな!!」
「コ、コナン君?」
「開けちゃダメだよ…ドアを塞いでるの石栗さんの遺体だから」
怪我をしててもやはり事件に遭遇するのかコナン君。
そろそろ本気でお祓いに連れてってあげるべきだろうかと悩んだけど今更な気がしたのでやめた。
容疑者3人の事情聴取が始まった。
「あーボク喉乾いちゃったー!」
「うるせーぞボウズ。喉乾いたなら琴音さんに言って水でも貰え」
「えー水よりお茶がいいな!◇◇お姉さん水筒に入れて持って来てたよね!ちょーだい!」
「うん。リビングに置いてあるから一緒に行こうか」
「うん!」
「ったく」
二人でキッチンから出ると、そのままリビングへ向かう。
お茶を渡しながら、何か聞きたそうな視線を向けられたので首を横に振る。
コナン君が石栗さんの部屋に行ってからは私も蘭ちゃん達と一緒に居たし、事件後も怪しい動きをした人は居なかった。
「顔色は大分良くなったね。役に立てなくてごめん」
「バーロー。密室殺人で情報をポンポン出せるやつなんか犯人くらいだっつの」
「…確かに」
お茶を飲み干したコナン君と一緒に、皆がいるキッチンへ戻る。
昨晩から無くなっている石栗さんの部屋の合鍵を探してるけどどこにも無いみたい。
警察が調べた結果、凶器の花瓶に水が入っていたという。
不思議に思っていたら、コナン君の顔つきが変わった。
私をチラッと見たあと、毛利さんを見る。
はいはい、椅子に座らせろってことね。
横溝警部と話している毛利さんが警察手帳を見るために机に近づいた。
私が椅子の近くに居たから場所を譲る。
「現在、排水口や別荘の周りも調べているんですが報告はまだ」
「どうでもいいが汚ねぇ字だなぁ」
「毛利さん。手帳見るなら私退きますからどうぞ椅子に」
「あぁ、悪いな」
コナン君がイタズラっ子の顔になったからひとまずこれで私の出番は終わり。
コナン君の背を向けて、彼が時計型麻酔銃を構えいざ推理ショーかと思いきや
「ん?何してるんだい?コナン君」
「!?」
「う、腕時計のフタが壊れちゃって…あははは」
安室さんがコナン君の動向に気付き覗き込む。
笑って誤魔化しながら私の方へ近づいてきた。
この人の前で眠りの小五郎を演じるのはリスキーすぎるか。
仕方なく、今回はヒントを出して答えに誘導する姿勢に切り替えたみたい。
このパターンなら誰でも話がわかるように誘導するハズだから、私は自分から口を挟まないことにする。
彼のヒントを聞きながら、ふと浮かんだ疑問。
コナン君は、ホークアイのことを他人に知られるのを良しとしない。
私個人としてはどっちでもいいんだけど、普通の人には出来ない芸当らしいから言っても信じてもらえないだろうと思って黙ってるくらいだ。
私が頭のおかしい人間に見られないか心配してくれてるのかな?
そんなことを考えてたら、安室さんが過冷却水について解説してた。
以前から思ってたけど、コナン君も安室さんもどっからそんな知識仕入れてくるんだろう。
さらに加えてそれを饒舌に話せる記憶力。
神様は不公平だ。
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