第1章
□第6話
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それからは本当に寿命が縮む思いだった。
高木刑事が拉致されたことでパンフレット撮影どころではなくなり、子どもたちと一緒に事情聴取を受ける。
いつも優しく正義感にあふれた高木刑事が拉致されたなんて。
普段お世話になってるだけの私ですらこんな状態なのに、恋人である佐藤刑事の心情は想像出来たものじゃない。
事情聴取が夜遅くまで続いたため、佐藤刑事が私たちを送ってくれることになった。
そういえば、佐藤刑事の車って安室さんのと色違いだったっけ。
同じ車でも、車内の匂いが違うとこうも雰囲気は変わるものなのか…
って、こんな大変なときに何を考えてるの私は!
不謹慎な思考に少し自己嫌悪。
でも耳に入る佐藤刑事と子どもたちの会話に気分が少し上がった。
恋人だもん、一緒に寝ることもあるよね。
照れている佐藤刑事が可愛くて小さく笑うと、佐藤刑事が私を横目で見て拗ねたような表情になった。
子どもたちを順番に送り届け、最後に私のマンションまで来てくれた。
車を降りる前にお礼を言って、ハンドルを握ってる佐藤刑事の手を上から包み込む。
「◇◇さん?」
「私じゃ何の役にも立たないですけど、でも絶対、高木刑事のこと助けましょうね」
「!」
「私、警視庁の皆さんのこと大好きで、信じてますから」
それだけいって、車から降りる。
どうしても佐藤刑事をあのまま一人にはしたくなかった。
気休めにもならないかもしれないけど、言わずには居られなかった。
何で私が泣きそうなんだろう。
逃げるようにマンションに入った。
「◇◇さん、ありがとう…」
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