テテジミ

□恋の手解き 前編 R18
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初夜の手解き 前編



ずっと好きだったテヒョンに「ジミンが好き」と言われたのが一年前。
お互いの立場から軽はずみに返事はできないと、死ぬほど悩んで「僕も好き」と答えたのが半年前。
つまり、お互いの両片想いを終えて、お付き合いを始めてから半年、となる。

付き合い始めてからも、テヒョンの態度に変わりはない。
びっくりするほど、変わらない。
僕と他のメンバーへの態度に大きな差はなく、二人きりで話したりどこかへ出掛ける、といった頻度も全く同じ。
……そう、我慢強いはずの僕が、いろいろとモヤモヤしてしまうくらいには。

え? 普通、恋人だったらすることない?
手を繋ぐとか、ハグとか、戯れのキスとか……は、今までもしてきたから、そういうこと以外に。
なんで触れてこないわけ? 
少なくとも、お前、僕よりもずっと前から好きだったわけでしょう。僕のこと。
「僕も好きだよ」と返事をした時の、あの花が咲くような満開の笑顔。
あれは一体なんだったわけ?

今日も今日とてメンバー全員での夕食を終えたあと、テヒョンは「おやすみー」と一人で自室に戻ってしまった。
もやもやの限界を越えた僕は、頬を膨らませながらテヒョンの部屋に向かった。
「なに?」と不思議そうな顔をしながら迎えてくれた恋人は、すでにゲームの準備に取りかかっていたようで、テレビの前にはコーラとコントローラーが並べられていた。

「明日オフじゃん。夜通しゲームしようと思って」
「......へぇー。そうだね。明日オフだもんね」
「何しに来たの? お前もゲームやる?」
「......」

同じ家に住んでいるとはいえ、夜更けに部屋に訪ねてきた恋人に「何しにきたの」はないだろう。
明日休みなのに。二人とも休みなのに。
ゲームの他に、やりたいことはないのか。

更に頬を膨らませて、肩をいからせながら「しない」とテヒョンの部屋にずかずか入った。
テヒョンは不思議そうだったけれど、僕の態度よりも今はゲーム、という風にすぐにテレビのスイッチをいれて、大きなクッションをベッドから下ろした。

テヒョンが一人で使っている部屋だから、僕のためのクッションなんてものはない。
早々と楽な姿勢を取るテヒョンの太ももを枕にして、膝を曲げて転がった。

テヒョンがやっているゲームは、世界中の人たちと通信しながら行うサバイバルゲームで、チームを組んでお互いの敵を倒していく、というものだった。
今日のチームメイトは英語圏の人らしく、テヒョンは変な発音で「シット!」とか「オーマイガー!」とかコントローラーをがしゃがしゃ操作しながら叫んでいる。
僕の方など全く見ずにコーラを飲むテヒョンを見上げて、「ねー」と口を開いた。

「テヒョンアー」
「なにー」
「お前、僕としたくないの?」
「なにを?」
「えーと……せ、セックス? とか?」

テヒョンが、口をつけていたコーラを盛大に吹き出した。
同時に、操っていたプレイヤーが爆撃を受けて消し飛んだ。
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