テテジミ

□Baby Jの憂鬱@ ジミン編1
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※防弾少年団が、テテ・グク以外の5人という設定です

僕の名前はパク・ジミン。
防弾少年団という5人組のアイドルグループのメンバーで、メインボーカルを担当している。
メンバーは、頭脳派のリーダーRM、長兄で世界的美男子(ワールドワイドハンサム)のジン、天才的な作曲とラップの才能を持つシュガ、ダンスの天才でみんなの希望、ジェイホープ、そしてこの僕だ。

年功序列が厳しいこの国では、とにかく年齢、年上の言うことには絶対服従。弟は兄のことはヒョンと呼び、畏れ、敬い、礼儀正しい姿が求められる。それゆえに、兄たちには格好いいサンナムジャ(男の中の男)としての姿を期待される。
そして、マンネ(末弟)と呼ばれる僕のような存在は......とにかく可愛がられる。ファンにも、メンバーにも。なんなら、事務所のスタッフにも。

何か格好いいことをすれば「マンネなのにすごい」と称賛され、小さなドジを踏んでも「マンネだから仕方ない」「これだからマンネは」と笑って頭を撫でてもらえる。
立場に甘えている訳ではないが、僕たちは与えられた役割をそれぞれしっかりと果たしている。僕は可愛がられて、愛される役。
そう、僕は結構人気者なのだ。

......ただし、人気者には人気者なりの、悩みも多い。

「ジミーン」
「......」
「じーみーん」

遠くで、ジン兄さんとシュガ兄さんの声が聞こえる。声が遠いと感じるのは、僕がイヤホンをつけたまま携帯電話を睨み付けているからだ。

「ジミン。ヒョンであるイケメンの俺が呼んでるんだよ。聞こえてない振りはやめなさいよ」
「......ジン兄さん」

自分でも不機嫌さを隠せていない顔で上を見ると、ちょうどジン兄さんが僕を見下ろしているところだった。
兄さんは僕の耳にはまっていたイヤホンを外して、自分の耳に当てて「音楽なんて聴いてないじゃないのー」と笑った。

「耳栓代わりです」
「耳栓? なんで?」
「僕に対する世間の評判を聞きたくないからです」
「はー?」

皮肉のように言ってから、見下ろしている兄さんにそっぽを向く。眉を寄せるジン兄さんの後ろからシュガ兄さんがやってきて、僕の顔を覗きこんだ。

「兄さん。ジミンのことはほっといてやってください。どうせまたアウトタグが増えたって、エゴサーチしてるだけですから

「ツイッター?」
「......です」
「お前も難儀だね......というか、やめなよ。建設的じゃないよ」
「マゾだぞ、それ。愚行以外の何物でもない」

二人が椅子を引いて、僕の両隣に座る。僕は、「好きでやってるわけじゃないですよ......」と息を吐いて、ジン兄さんからイヤホンを受け取った。
唇を尖らせて、拗ねる振りをしながら画面を両手の親指でスクロールする。検索バーに「♯outjimin」と入れた検索結果は、何度スクロールしても途切れることなく、するすると上に伸びていく。
二人はテーブルに肘をついて、「やめないし」と僕を見て笑った。

ツイッターのアウトタグ......いわゆるアンチコメントが付くツイッターの目印だ。
自分で自分の噂を見に行くエゴサーチ。わざわざ自ら血を流しにいく。
我ながら不毛だ。そんなことは分かってる。
けれど、僕の気持ちが分かる人はたくさんいるはずだとも思ってる。
気になって仕方ないのだ。
どうして人は自分の悪い噂が流れると、途端に弱くなるんだろう。
自分の一所懸命やったことを否定されるのは傷つく。
回りにファンがいない時、カメラが回っていない時は、僕たちだってただの人だ。いや、防弾少年団でいる時だってただの人間だ。
辛くなるし、頭にくるし、悲しくなる。
自分がこのままでいいのか、怖くなる。

「人って、100の賛辞よりも1の否定に弱いって、ほんとですね......まあ、僕のは1どころじゃないんですけど」
「それだけ俺たちが有名になったってことだよ。有名税ってよく言うだろ」
「税が高すぎますよ......シュガ兄さんなんてまだいいですよ。ラップとか作曲とか、強い武器があるんですから......僕なんて全く関係ないことまで叩かれるんですよ。くしゃみが小さいとか、指が小さいとか、特に小指が小さいとか、なんか小さいばっかりですよ」
「俺、お前のくしゃみの大小とか気にしたことなかったわ......」
「ジン兄さんだって、ほら。最近じゃただイケメンなだけとか言われてる」
「ん? 見せて見せて、おおー、イケメンだって。誉めてくれてるじゃん」
「......」

シュガ兄さんを見たら、「この人に皮肉は通じない」と首を横に振った。
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