novel3

□平和な世界の二人
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「なぁ、この服脱がせんの面倒なんだけど」
多忙な時期。執務室にこもって仕事に耽っていたノクティス陛下の元へ数日ぶりに帰還したプロンプトは書類を手渡すと同時に腕を掴まれ机の上に押し倒された。
机の上から床にヒラヒラと落ちていく沢山の紙。インクも羽ペンも勿論全て床の上。
黒に染まる床の有り様にプロンプトはイグニスに大層叱られるだろうと重い溜め息を漏らした。
チラリと横目でノクティスへ視線を向ければ完全に座った目。
何日まともに寝ていないのか。どれだけ仕事に追われていたのか。
だが、しっかりと手は動いていて神聖なる王の剣の衣装を寛げていく。
幾重にも重なる布地に苛立ちを覚えた彼はチッと舌を鳴らす。
プロンプトは呆れてしまう。これは王へ身も心も捧げ忠誠を誓う服ではあるが、決して王が脱がす為のものではないのだ。
「ノクティス陛下……仕事、まだまだ溜まってんじゃないの?」
「オレの股間の方が溜まってっから」
「そんな親父ギャグ聞いてないし」
面倒くさがりながらも手は動かすノクティス。本当にこのままおっ始めるつもりかと、その手を制止する為に掴めば睨まれる。
近くで見なくとも判る整った顔立ち。十年前より明らかにグッと低くなった声。
そんな相手に押し倒されて求められて悪い気なんてしない。
寧ろ腰の辺りが疼くのなんて当たり前。
これがベッドの上ならば両脚を相手の腰に絡めて求め合うというのに、何てタイミングの悪い状況。
頼むから仕事をしてくれと訴える前にノクティスの唇が己のそれと重なった。


息も出来ぬほどの激しさと熱に浮かされるまであと少し。


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