novel3

□キッカケ
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触れただけの口付けでは物足りなくなって最初にキッカケを作ったのはプロンプトだった。

付き合って三ヶ月。
キスをした回数は覚えていない。
した回数も覚えていなければどちらからした回数の方が多いのかすら知らないし覚えていない。
けれど、それらのどれもがただ唇を合わせるだけのもの。
唇を重ねて直ぐに離れる。
確かに心地いいがその辺の漫画や映画やアダルトビデオで見てきたもっと濃厚なキスをしたいとプロンプトは感じていた。
そう思うのはやはりノクティスが好きだから。
相手からしてくれないなら自分から。そもそも己も男だ。待つ必要なんてどこにもない。
だから、今日はノクティスの部屋に遊びに来たのをキッカケにプロンプトはその隙を見計らっていた。
ノクティスがソファで横になり仰向けになってパラリと釣り特集の雑誌を見ている。
ドキドキと高鳴る鼓動は今からの行動の意味に緊張しているから。
こんなにも意識しているというのに相手はどうしてそんなに呑気なのか。
二人の関係に進展は必要ないのかと恨みたくなりながら歩を進める。
喉が渇いたと言って貰った水を一口飲み、 中身を残したそのコップをテーブルに置いてからプロンプトは突如としてノクティスの腰に股がった。
はしゃいだ子供のようにドンとでも効果音を付けたくなるような勢いで。
「っ、ちょ……んだよ?!」
釣り雑誌に夢中になっていたノクティスが視線をプロンプトへと向けた。
勢いと彼の性格を合わせれば悪戯っぽい笑みが視界に入ると思っていたノクティス。だが、そこには潤んだ熱っぽい視線と唇を結んで真剣に見下ろしてくるプロンプトの顔。
何事かと驚き言葉を失ったノクティスの唇に身を屈めたプロンプトの顔がグッと近付く。
重なった唇。いつもと同じ触れただけのものだった。
だが、プロンプトの赤い唇の隙間から同じく赤い舌先が覗き、ペロリとノクティスの唇を撫でる。
唾液で濡れ、柔らかく、生温かい感触。
ピクリと身を奮わせるが、唐突の出来事に驚愕するノクティスよりも何故かプロンプトの方が小刻みに身を震わせている。
ここまでしたのは良いがこれ以上は判らない。
咥内に挿入したいが経験が無いので勇気が出ないというのと、単純にやり方がイマイチ判らないのだ。
何せ見た事しかないから。
そんな緊張してますという空気がひしひしと伝わり、ノクティスはハァと溜め息を漏らす。
プロンプトがピクリと身を震わせたと同時にノクティスがその後頭部へと手を回し引き寄せた。
再び重なった唇はいつもよりピッタリと重なり、普段の一瞬触れただけという小鳥の嘴がつつき合うようなものではない。
「ん……っ」
ノクティスの舌先がプロンプトの咥内へ侵入する。
絡められる舌先。ピチャリと唾液の音が鼓膜を刺激し、柔らかな感触とノクティスの唾液の味が咥内に広がっていく。
隅々まで味わうように咥内をまさぐり舌先が這う。
後頭部を掴む右手。左手は持っていた釣り雑誌を床へと放り投げプロンプトの腰を撫でる。
シャツの隙間に指先が忍び、素肌に指先を這わす。
「ぁ……ノク……」
「……なに、お前そんなにオレに抱かれたかったのかよ?」
僅かに唇を離し至近距離でプロンプトの眼を食らうように見つめるノクティスの眼はまるで野獣。
腰を這う指先がゆっくりと背中へと這い上がり、その擽られるような刺激にゾクゾクと鳥肌が立つ。
鼓膜に注ぎ込まれる言の葉は既に熱を帯びていて、喉奥から囁かれるそれは低くプロンプトの下半身に熱を与える。

考えるよりも先にプロンプトは縦に頭を振り行為の先を促した。


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