novel3

□放課後のくちづけ
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チュッと音を立てて触れた唇は初めてのそれで、勢いとはいえ初めての口付けに一人秘密を抱えている気分になり背徳感に気持ちが昂る。
「いっつも、この時間寝てるよね……」
派手な見た目に反して人柄や真面目な性格により、放課後に教師に呼び出される事も度々あるプロンプト。
教材の整理を手伝ったり、ノートの回収を頼まれたり。
それによってそういった事に無縁のノクティスを待たせる事になるのもしばしば。
休憩時間に眠る時は机に伏せて両腕を枕にして眠る親友。
だが、放課後に眠る時は背凭れに躰を預け俯いて両腕を組んで眠っている。
この違いは何なのだろうかと。
最初こそ肩を揺さぶって起こしていたのだが、最近は何も言わずそっとその唇に己のそれを重ねるのが定番となってしまった。
最初のキッカケなんて忘れた。好奇心からなのか。はたまた思春期による血の迷いか。
でも、やめられず何度もしてしまう。
そして、今日はいつもなら一度でやめてしまうそれをもう一度味わいたくて顔を近付ける。
寸前で止まって息が唇にかかる程のところでポツリと呟く。
「……オレ、ノクトの事好きなのかな」


「お前、好きなじゃない奴に毎回キスする訳?」


掴まれた腕。パッチリと開いた瞼。射抜くような瞳。
驚愕に躰が固まってしまいその躰を退いて誤魔化すタイミングを完全に逃した。
何も言い返せず目を見開いているとノクティスは先にその唇を塞ぐ。
そのまま押し返すように器用に立ち上がったノクティスは唇を重ねたままプロンプトの肩を掴み己の机の上に押し倒す。
覆い被さる躰。
重なる二人の躰は夕焼け色に染まった。


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