奇跡

□奇跡 2
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ジェソンとジユンが生まれて僕はグループに復帰した。

最初の1年ちょっとは、2人を優先する為にお仕事の量を抑えて貰っていた。

そんな2人も2歳になり、まだまだ手は掛かかるが、なんとか普通に仕事に出れるようになって来た。

僕は、今まで休んでいたにもかかわらず、ありがたい事にお仕事を沢山頂く事が出来た。
その、スケジュールをこなすのに忙しい毎日を送っていたが充実していた。

その間、子供たちの事はヒョンのお母さんが見てくれていた。

仕事が終わって帰るのも遅くなる事が多かったので、子供たちはすでに寝ている事が多かった。

子供たちの寝顔を見ながらいつも思う。

『側にいてあげられなくてごめんね。いつも一緒に遊んであげられなくてごめんね。』と…。


子供を産む事が出来たのはすごく嬉しかったし、お仕事がある事も嬉しい。
でも、両立するのは難しいなと最近思ってしまっている。




朝、目が覚めるとジェソンが僕を見ていた。
いつもなら、僕の方が先に起きるのに…。

「マ〜マ〜。」

そう言って手を伸ばしてくる。
僕が、起きない事が心配だったのかな?

「どうした?ジェソン?」

抱き上げると、すぐさま僕にしがみつく。
この子は、生まれた時なかなか泣かなくて大変だった。
その分、やっぱり体は他の子に比べると小さめだし一緒に生まれてきたジユンの方が大きい。
ジユンは、すごく良く食べるし子供の割にはしっかりしている。
ジェソンは、食が細いのか食べるのもゆっくりだし、いつも僕にひっついている。
だから、必然的にジェソンを構ってしまう。

その日は、午後から仕事が入っていたのでお休みだったヒョンに子供たちをお願いした。

出掛ける準備が終わり下に降りると、ジェソンが階段を登ろうとしていた。

「ジェソン何やってるの?危ないでしょう。」

僕は、慌ててジェソンの側に行き抱き上げる。
ソファーの側まで行きヒョンを見ると、ジユンと一緒に寝てる。
まったく、ヒョンってば…。

「ヒョン?僕、仕事に行くので2人お願いしますね。」

「あぁ。」

「あと、ジェソンが階段登ろうとしてたから気を付けて下さい。」

「わかった。おいで、ジェソン。」

「や〜!」

大丈夫かな?

ヒョンも、疲れてるの知ってるけどもう少し子供たちを注意して見てもらわないと何かあったら…。

「ヒョン?ジユンだけお願いします。ジェソンは、お義母さんにお願いするので。」

僕は、ジェソンを抱き上げ隣のお義母さんの所に行った。

「すみません。ヒョンも疲れてるみたいで2人を見るのは、大変そうなので…。」

「いいわよ。ジニョンちゃん、ジェソンは私が見てるから。」

「お願いします。じゃね、ジェソン。行って来ます。」

お義母さんに一礼して、僕は仕事に向かった。





来週から、1週間休みがもらえた。
久しぶりの休みだし子供たちと、どこかに出掛けようかな?
僕は、ワクワクした気持ちで家に帰った。

家に着くと、ジェソンの泣き声が聞こえた。
僕は、慌てて家の中に入った。

「ジェソン?どうしたの?」

「あっ、おかえり。ジニョン。」

ヒョンの方を見ると、抱っこされているジェソンが暴れて泣いている。

「ヒョン、かして。」

僕は、ジェソンを受取り抱きしめる。

「ジェソン…。泣かないで。ママだよ。」

ジェソンは、僕の頬に手を伸ばして来て笑っていた。

「何があったんですか?」

「いや、ジェソンが階段を登ろうとしてたから止めたら泣き出して。」

「階段を…?」

「あぁ、多分ジニョンが2階にいると思ったんだろ?」

「そうなの?」

ジェソンは、相変わらず僕にしがみついて、
ニコニコしていた。

「ごめんなさい。知らなかったとは言え、ヒョンに怒鳴ったりして。」

「いや、いいよ別に。」

ヒョンが、何もなかったように振る舞うから、余計に申し訳なく思ってしまい、腕を掴み抱きついた。
そしてヒョンが、僕の事をさらに抱きしめてくれる。

この感覚すごく好き。

そう思っていると、突然ヒョンが声をあげた。

「いたっ。」

えっ?
ジェソンが、ヒョンを叩いていた。

「ジェソン?どうしてパパを叩くの?ダメだよ。」

ジェソンは、ムスッとした顔をしながら僕の胸に顔を埋めた。
最近、ジェソンはヒョンの事をやたらと嫌がる。お母さんたちは、僕がヒョンに取られるのが嫌だからだと言うけど、親子なのにそんなの寂しいと思う。

ヒョンとも、仲良くして欲しいのに…。


ジェソンとジユンを寝かせ僕は、ベッドに入る。ヒョンは、子供たちの相手をして疲れたのかもう、寝に入っていた。
とりあえず、明日の仕事の台本に目を通し一通りの準備をする。

「まだ、寝ないのか?」

「ヒョン?寝たんじゃなかったの?」

「うん?」

「あっ、ごめん。電気が邪魔だった?」

「そうじゃない。」

どうしたんだろう?ヒョンにしては珍しく歯切れが悪い。

「ジェソンは、ジニョンにベッタリだな。」

「うん。そうだね。」

「お前も、ジェソンの事ばかり構ってるだろ?」

「そうかな?」

「そうだよ。たまには、俺の事も構って欲しいな。」

やっぱり、そういう事か。
僕は、子供たちも大事だけどヒョンが1番だって何度も言ってるのに信用してくれてないのかな?

「そうだ、ジニョン来週から休みだよな。」

「うん。」

「お袋たちが、旅行に行こうって言ってた。」

「旅行?」

「たまには、自然に触れてゆっくりした方がいいんじゃないかって。子供たちも、自然に触れる事が出来て楽しいんじゃないかって。」

「でも、いいのかな?いつも、甘えてばかりなのに…。」

「いいんじゃない?」

ヒョンが、そう言いながら抱きしめてきた。

僕は、ヒョンに覆いかぶさるようにしてキスをした。
ヒョンとのキスはいつしても、ドキドキする。

段々、深くなっていく。

次第に、僕はヒョンに抱かれたいと思ってしまう。


愛する人を受け入れたいと…。
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