運命の糸

□運命の糸 1
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『ジニョン…あなたは、みんなに愛されるわ。だって、私達の子供が愛されない訳ないわ。
でも、一緒に居てあげられなくてゴメンね。こんな両親で本当にごめんなさい。』

『ごめんな。ジニョン。』

『愛しているわ…とても可愛いジニョン。』

『もう1度…いつか…会えると信じているよ。』




ハッ


まただ。

いつからか見るようになった夢に出て来る声…。

両親って言ってるって事は、僕の両親なんだろうけど…顔も出てこない夢でそれが本当なのかはわからない。



ただ、わかっているのは僕には両親はいない。








2×××年 child house前



ふぎゃ〜!

ふぎゃ〜!


「先生!赤ちゃんがいるよ!」

「えっ?」

「泣いてるね。」

「まあまあ、なんて可愛い子なんでしょう。こんな所にいたら風邪を引いてしまうわ。中に入りましょう。」


ガラガラ


「また、捨てられてたんですか?」

「そうみたい。こんな可愛い子供を捨てるなんて。」

「信じられませんよね。」

「何か入ってないんですか?」


ガサゴソ



「あらっ?」

「手紙ですか?」

「そうみたい。」

『訳あって、私達ではこの子を育てる事は出来ません。離れたくはありませんが、この子のためにも皆さんにお預けさせて頂きます。
名前はジニョンと言います。私達の分もたくさん愛してあげて下さい。』



「訳あってね。ここにいる子供達はみんな訳あってなんだけど。」

「確かにね。でも、この子のご両親の分まで愛してあげましょう。」

「そうですね。」

「あなた、ジニョンくんって言うのね。よろしくね。」

「あ〜。」



それが、僕と僕の家 child houseとの出会いだった。



「はい!みなさん。新しい弟ですよ。仲良くして下さいね。」

『は〜い!』

「この子のお名前はジニョンくんって言います。よろしくね。」

『は〜い!』

「せんせい!ジニョンくんみせて。」

「はい、どうぞ。」

「あ〜。」

その時、僕は側にいたジェボムヒョンの洋服を掴んで離さなかったらしい。

「あら、ジニョンくんはジェボムくんが気にいったのかしら。」

「そうかな?」

「先生!ちょっといいですか?」

「はい!じゃあ、ジェボムくんジニョンくんの事お願いしてもいいかな?」

「はい!」



ガラガラ


パタン


『わ〜!可愛いね。』

『ちっちゃいね。』

「お前ら騒ぐなよ。」

『見せて見せて!』

「順番だぞ。」

『は〜い!』

「よろしくな。ジニョン。」

「あ〜。」



そう…これが僕とジェボムヒョンとの出会い。

とは言っても、僕は全然覚えていないんだけど。

後から、ジェボムヒョンに聞いた話なんだ。

でもね。

大勢いる子供達の中でジェボムヒョンに任された僕は運命の人とこの時すでに出会っていたんだよね。
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