パパとセンセイ
□パパとセンセイ
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ここは、天使のような子供達が預けられている保育園だ。
お父さん達がお仕事で忙しい間、大切な子供達を預かり僕達がお世話をしている。
ただ、他の保育園と違う所があった。
そう…。
ここは、シングルファーザーのための保育園なのだ。
なぜ、シングルファーザーと限定しているかと言うと、それは園長先生がシングルファーザーだった時に預けていた保育園がとても気に入らなかったんだとか…それでシングルファーザーのための保育園を作ったんだとか…。
だから他の保育園とは違い延長保育や休日保育なんかもやっていたりする。
それに、先生方もみんな男性ばかりが揃っている。
僕も片親だった事もあり、父と仲の良かった園長先生にはよく面倒をみてもらっていた。
学生時代に夏休みなんかでお手伝いをしていた事もあってかここの園には慣れていたしなにせ子供達が可愛過ぎて。
ここで働きたくて保育士の資格も取った。
そして念願の先生として働けるようになって4年毎日が幸せでしょうがない。
今日も、いつものように子供達のお出迎えをしていた。
「センセイ!おはよう。」
「はい。おはよう。」
子供達に挨拶をしていると遠くから1人の子供がかけてきた。
「ジニョセンセイ!」
その子供は、勢いをつけたまま僕に飛びついて来た。
「うわっ!」
「すみません。ジニョンセンセイ大丈夫ですか?」
ユギョムくんのお父さん…!
「あっ、はい。大丈夫です。」
「ユギョム。そんな風にしたらジニョンセンセイ痛いだろう?それに、ケガをしたら大変なんだからな。」
「は〜い。ごめんなさい。」
「大丈夫だよ。ユギョムくん。じゃぁパパに行ってらっしゃいしようか?」
「うん。パパいってらっしゃい。」
「ああ。行ってきます。」
本当、いつ見てもユギョムくんのお父さんはカッコいいな。
ユギョムくんとお父さんを見送った後教室に入ると荷物を置いてすぐに僕の側にやって来た。
そう。僕はこのユギョムくんにとても懐かれている。
なぜだかわからないが、ユギョムは気付くと常に僕の側にいるんだ。
だから、必然と構ってしまう事が多くなるんだけど…。
ユギョムくんのお父さんは、お仕事が忙しいらしくこの半年近く延長保育や休日保育を使用している。
ユギョムくんは、本当はお父さんと一緒にいたいんだろうけど…。
僕がその代わりをしてあげても良いんだけど…迷惑だろうし…。
お昼の時間になり、僕はいつも通りユギョムくんの隣で一緒に食べた。
みんなが食べ終わり遊び始めていたがユギョムくんはなかなか食べ終える事が出来ないでいた。
「どうしたの?」
「なんでもない。」
食べれない物があったのかもしれないし、無理に食べさせる事はせず様子を見る事にした。
お昼寝の時間になり、子供達を寝かせているとユギョムくんが珍しく愚図り始めた。
僕は、ユギョムくんの側まで行き横に添い寝をしてあげた。
安心したのかすぐに眠りについたので起き上がろうとすると袖口をしっかり掴まれていて身動きが取れなかった。
仕方なくパーカーを脱ぎその場を離れた。
3時を過ぎた頃、子供達が起き始めた。
一人一人を着替えさせお布団を畳んで行く。
「ジニョンセンセイ。ユギョムくんが起きないんですけど?」
「えっ?」
どうしたんだろう?
今日は、なんかおかしいな?
「ユギョムくん?起きようか。」
「ジニョセンセイ。」
あれっ?顔が赤い?
えっ?
まさか…。
オデコを触って見るとすごい熱だった。
僕は、急いで他の先生にお願いしユギョムくんを隣のマーク先生の所に連れて行った。