身分違いの恋
□身分違いの恋B
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あれから、僕は部屋にこもってばかりいた。
あの日、病院の先生に言われた事をずっと考えている。
『妊娠体質…。』
お父さんと同じように愛する人の子供を産む事が出来る体。
普通に考えれば喜ばしい事だ。
だけど、僕の愛する人は…。
そういえば、先生は身体にはまだ変化が無いと言っていた。
もしかしたら、このまま変化が起こらないかもしれないんだ。
そうだよ。
今、色々考えたってしょうがない。
身体に変化が出てから考えたっていいんだ。
僕は、少し楽になり久しぶりにフラワーガーデンに足を運んだ。
ここは、いつ来ても落ち着く…。
安心したせいか、僕は眠気に襲われた。
***
病院に行った日から、ジニョンの様子がおかしい。
あの日、何かあったのだろうか?
心配になってジニョンに聞いてみても、『なんでもないです。』と言われてしまう。
そんな、ジニョンを1人にしておくのがとても心配だった。
今日は、なんとか早めに帰る事が出来そうだからジニョンの話しをゆっくり聞いてやろう。
家に帰り、部屋に行くとジニョンの姿が見当たらなかった。
自分の部屋に戻ったのか?
取りあえず、着替えを済ませジニョンの部屋に行ってみたが、ノックをしても返事が無い。
屋敷の中を見てまわってもジニョンの姿は見当たらない。
どこに行ったんだ…?
まさか…?
俺は、ジニョンの好きなフラワーガーデンに向かった。
夜になるとフラワーガーデンには直接光は当たらず屋敷からの光だけが入り込む。
そっと中に入ると、案の定ジニョンは眠りについていた。
いつかの光景が思い浮かぶ。
俺は、ジニョンに近づきそっと隣に座った。
いつ見ても、本当にジニョンには目を奪われる。
あの時のように、目覚めのキスをしてみた。
「ん〜?」
「目が覚めたか?」
「ジェボム…ヒョン…?」
「こんな所で寝てたら風邪引くぞ。」
「あれっ?僕寝ちゃってたんだ。」
「ジニョン?なんか心配事でもあるのか?」
「えっ?」
「最近、様子がおかしいかったからさ。」
「え〜っと…。」
「まだ、執事になる事考えてるのか?」
あれだけ言ってもまだ、諦めないんだよな。
なんで、そんなに執事になる事に拘ってんだか。
***
ジェボムヒョン…気にしてくれてたんだ…。
「あのっ!ジェボムヒョンはまだ、僕が執事になるのは反対ですか?」
「ああ。」
「僕、ジェボムヒョンの執事になれないのなら他のお屋敷に行こうかと考えているんですけど…。」
「はぁ〜?何言ってんだよ。」
「だって、ジェボムヒョンが嫌だって言ってるんじゃ。それに、学校まで行かせてくれた旦那様にも申し訳ないです。」
「俺は、ジニョンに側にいて欲しいんだから他の屋敷に行く事なんてあり得ないだろう。」
「じゃあ、どうしたらいいんですか?」
「だから、このままでいいじゃないか。」
「それだと、意味ないんです。」
「本当に頑固だな。」
「今更です。」
「わかったよ。俺の執事になれよ。」
「ジェボムヒョン…。ありがとうございます。」
「そのかわり、俺の側から離れるなよ。」
「はい!」
僕は、すごく嬉しくてジェボムヒョンに抱きついた。
やっと、ジェボムヒョンが許してくれた。
これで、ジェボムヒョンの執事になれるんだ。