GOT7 短編

□離れられない
1ページ/1ページ


「ヒョン、バイバイ。」



ジニョン?どこに行くんだ!バイバイって…。
ハッと目が覚めた。
夢見が悪すぎるだろう。
ジニョンが俺から去るなんてありえない。


でも、もしそんな事があるなら…。



俺は、ジニョンの部屋に行ってみた。
寝ているジニョンを見てホッとした。
布団から出ている手を握り、ジニョン自慢の髪を手で梳かす。
その感触に気づいたのかジニョンが、目を覚ました。

「ヒョン…?どうしたんですか?」

「ん?嫌な夢を見たんだ。ジニョンが俺から離れて行く夢を…。」

「僕は、離れてなんか行きませんよ。ヒョンの事が大好きだから。」

「ジニョン、ありがとう。」

「ヒョン?まだ、時間早いし少しここに入りませんか?」

「でも、大丈夫か?」

「誰も見てないし、僕は久しぶりにヒョンに触れたいです。」

「じゃぁ、入ってもいい?」

「うん。」


俺は、ジニョンと抱き合いキスをして、久々にお互いの愛情を確認した。


愛し合っている俺たちが、離れる事なんてありえないだろうとこの時は思っていた。





数日後、ジニョンの態度が変わり始めた。

今までとは打って変わってジニョンは俺を避けるようになった。

メンバー全員で並んでいても隣に並ぶ事がなくなった。

「ジニョン!」と呼んでみても側には来るが距離をあけて隣にいる。

あの時見た夢は、正夢になってしまうのだろうか?


いい加減、ジニョンの態度に苛立ちを覚えジニョンを別室へ連れて行き2人で話をした。

そこで、ジニョンは、思いもよらない事を口にした。

「ジニョン?なんで最近俺を避ける?」

「避けてるわけじゃ…。」

「なんで、俺の事見ない?」

「ヒョン、終わりにしよう。」

「えっ?ジニョン今なんて言った?」

「僕たちの関係、もう終わりにしようって言った。」

「どうして?急に何いってんだよ!」

「ごめんね。」

「ごめんじゃ無くて、理由は?」

「聞かないで。」

「ジニョン?」

「ヒョン、バイバイ。」

そう言うと、ジニョンは部屋から出て行った。

なんでだよ!

ジニョンが、俺との関係を終わりにしたいなんて…。
数日前まで、あんなに愛し合っていたのに…。

考えても、考えても、ジニョンが何故そんな事を言ったのかわからなかった。




みんなのいる練習室に戻ると、ジニョンはマークとユギョムと楽しそうにしていた。
ジニョンは、決して俺の方を見ようとはしなかった。

「ジェボムヒョン?どうしたんですか?」

ヨンジェが声を掛けてきた。
俺の腕に抱きつき、心配そうな顔をしている。

「なんでもないよ。」

そう言いながら、またジニョンを見ていた。



ジニョンから、『終わりにしよう』と言われてから2カ月が経とうとしていた。

俺は、あの日からヨンジェといる事が多くなった。
同室である事と、ボーカルラインという事で必然と一緒にいる。

相変わらず、俺はジニョンを目で追っている。
最近、顔色が悪いように感じるんだけど気のせいか?


ジニョンは、今日も個人での仕事が入っていてみんなと宿舎には戻らなかった。
俺とヨンジェは部屋に戻り、各々好きな事をしていた。
その間も、俺はジニョンの事を考えていた。

「…ヒョン?」

「…ヒョン?」

「…ジェボムヒョン?」



「あぁ、どうしたヨンジェ?」

「何か考え事ですか?」

「あっ、いや。」

「ジニョンヒョンの事、考えてます?」

「えっ?」

「最近、良く見てますよね。」

「なんで?」

「僕、ジェボムヒョンの事見てるからわかるんです。」

「ヨンジェ?」

「僕、ジェボムヒョンの事好きです。」

ヨンジェにそう言われて一瞬戸惑った。
同じグループのメンバーで可愛いがっていた。
弟のように思っていたヨンジェが俺の事を好きだと…。
だが、受け入れる事は出来なかった。

「ごめん。ヨンジェ。俺…。」

「いいんです。言えてスッキリしました。一つ聞いてもいいですか?」

「なに?」

「2人は付き合ってるんですか?」

「前はな。最近、ジニョンに終わりにしようって言われたからさ。今は付き合ってないが正しいかな。」

「それ、いつ頃の話ですか?」

「2カ月前くらいかな?」

「僕のせいかも…。」

「えっ?」

「僕、その頃ジニョンヒョンに相談してたんです。ジェボムヒョンが好きなんだけどどうすればいいんだろう?って。そしたらジニョンヒョン、少しだけ時間をくれって…。」

あの時の事か?

「1週間ぐらいしたら、『ジェボムヒョンの側にいてあげて』って。それから、僕ジェボムヒョンの側にずっといたんです。」


あのバカ!なに考えてんだよ。1人で勝手に決めやがって。


「ジェボムヒョン、僕ジニョンヒョンに言います。元に戻って下さいって。」

「いや、言わなくていいよ。」

「でも…。」

「俺が、なんとかするから。」



ガタンっ…。


その時、突然大きな音がした。
こんな時間に誰だ?
部屋のドアに手をかけた瞬間、マークの声が聞こえた。

「ジニョン!どうしたの?大丈夫?」

えっ?ジニョン?
俺は、急いで部屋を出て玄関に向かった。

「ジニョン?」

「あっ、ジェボム!」

「ごめん。マークちょっとかわって。」

そう言って俺はジニョンに触れてみた。
体がすごく冷たくなっていた。

もしかして…。

急いで、抱き上げ部屋に連れて行きベッドに寝かせた。

「ジニョン?薬飲んだのか?」

「…ない。」

「おい!ジニョンのカバン取ってくれ。後、水も持ってきて。」

ジニョンのカバンの中から薬の袋を取り出すと封が開けられていない。
日付を見ると、2カ月も前に処方されていた物だった。

「ジニョン?お前いつから飲んでないんだ?」

「ごめ…。」

「とりあえず、薬飲むぞ。口開けろ。」

ジニョンの口に水を入れると少しずつだが飲み込む事が出来た。
急いで、薬を出し口に入れる。なかなか飲み込む事が出来ないのか苦しそうな表情をしていた。
俺は、咄嗟に水を口に含みジニョンの口に注ぎ入れた。
ゆっくりだが、なんとか飲み込む事が出来たようだ。


少しすると、落ち着いて来たのかスースーと寝息が聞こえ始めた。
これで、大丈夫だと俺はホッとした。

周りにいたメンバーたちは、すごく驚いていた。

「ねぇ、ジニョンってどこか悪いの?」

俺は、隠せないなと思ったが本人から話した方がいいと思い、それとなくだけ話した。

「ジニョンの事だから、俺は詳しくは言えない。ただ、ジニョンには今日あった事を伝えるから、本人が話すまで待っててやってくれないか?」

「ジェボムは、知ってたの?」

「あぁ。」

「そうだよね。対応が早かったし。」

「そうだよ、ジェボムがいたから良かったけどいなかったら?何も知らない俺らだけだったらどうなってたか…。」

「ごめんな。マーク。」


メンバーたちには、俺がジニョンを見てるから寝てくれるよう伝えた。
みんなは、渋々だったが部屋に戻った。


俺は、寝ているジニョンの手を握り自分の頬にあてた。
だいぶ、温かさが戻ってきた。
もう、心配はなさそうだ。




そのまま、ウトウトと眠ってしまったようだ。

目が覚めると毛布が掛けられていた。

ベッドの方を見ると、寝ているはずのジニョンがいなかった。
時計を見るとまだ3時だ。こんな時間に何処かに行くはずもない。


すると、シャワーの音が聞こえてきた。
風呂場の方を覗いてみると、ジニョンの洋服が置いてあった。

それを見て、俺は台所に向かった。

冷蔵庫から水を取り出し部屋に戻った。

ちょうど、ジニョンも風呂場から出て来ていた。

「ヒョン、ごめんなさい。」

「ジニョン?いつから薬飲んでなかった?」

「2カ月前から…。」

「なんで?」

「最近、体調も良かったし大丈夫かなと思って…。」

「でも、ここ最近は体調悪くなかった?」

「うん。でも、疲れてるんだと思ってたから…。」

パチッ。

俺は、ジニョンの頬を軽く叩いた。

「ヒョン?」

「それで、みんなに迷惑掛けてたらダメなんじゃないのか?」

「うん。」

「みんな、驚いてたから自分で説明しろよ。」

「うん…。」

俺は、持って来た水を渡した。
ジニョンは、それを美味しそうに飲んでいた。

「なぁ、ジニョン?」

「はい。」

「ヨンジェに聞いたよ。」

「えっ?」

「お前、メンバー大事なのわかるけど俺の気持ちは無視するの?」

「ごめん…なさい…。」

「俺とヨンジェが付き合えばいいな。とか思ってた?そうすれば、自分は他のところに行けるって…。」

「ちがっ…そんな事考えてない。」

「じゃぁ、なんで?俺の事キライになった?」

ジニョンは首を横に振る。

「まだ、俺の事好き?」

黙ったまま頷く。

「じゃぁ、どうする?本当に終わりにする?」

「…だ。

嫌だっ!終わりたくない…。
僕だって言った後すごく後悔した。仲良くしてる2人を見るのは嫌だった。」

俺は、ジニョンを、抱きしめキスをした。

それが、俺からの返事だと伝わるように。

「ヒョン?」

「バーカ!もっと早く素直になれよな。」

「えっ?」

「ヨンジェには、ちゃんと断わったよ。ジニョンが好きだからって。」

「そうなの?」

「あぁ。そう言えばヨンジェが謝ってたよ、ジニョンに悪い事したって。」

「違う。僕が余計な事を…。ヨンジェに、謝らなきゃいけないね。」

「なんて言うの?」

「ヒョンが好きだから、譲れない。ごめんね。って言おうかな?」

「それ、本当?」

「もちろん。本当です。」

「ジニョン…。」

俺は、ジニョンに近づき唇を重ねた。
ジニョンは、俺の首に手をまわし引き寄せた。
その瞬間、ベッドに倒れ覆い被さるようになり体も重ね合わせた。


今回の事で、俺達は改めてお互いの大切さに気付いた。


もう二度と離れる事はないだろう。


●●



[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ