GOT7 短編
□嫉妬
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ある日、突然ジニョンが変な事を言い出した。
「ねぇ、ヒョン?ヒョンは男の人抱ける?」
「はぁ〜?」
「どっち?」
「普通はないだろう?」
「そうだよね。」
「なんか、あったのか?」
「先輩たちが、やたら僕を誘うから不思議に思って。」
「誘う?」
「うん。男の人なのに好きでもない男の僕を抱いて何がいいのかな?って」
「ジニョン?お前自分が言ってる事わかってる?」
「えっ?」
「お前、先輩たちと何してるの?」
「何って、セックス?」
「マジで。」
「うん。前にいた先輩にここのルールだって言われて、それからずっと。」
「前にいた先輩っていつ頃の話?」
「ん〜、2年くらい前かな?」
「そんな前から!」
「なんかおかしいなって思ってはいたんだけど僕が拒否したら後輩が同じ事されるんだろうなって思ったらなんか嫌だなって。」
「だからって、ジニョン!なんでお前が…。」
「だって、僕が受け入れちゃったんだからさ、僕で、終わりにさせないといけないよね。」
俺は、ジニョンの言葉を聞いて驚いた。
2年も前から、先輩たちにそんな風にされていたなんて知らなかったし、後輩の事を考えて犠牲になっているなんて。
俺は、マネヒョンに相談することにした。
翌日、マネヒョンに話があると呼び止めジニョンが話してくれた事を伝えた。
マネヒョンは既に知っていて事務所の方で、該当する奴らには面接をして確認をしていたそうだ。
今残っているのは、3人の先輩たちだけだった。
俺は、先輩たちに近づけないようにする為に、出来るだけジニョンの側にいた。
それから何日かして、俺とジニョンのデビューが決まった。
その報告の後、先輩たちは事務所スタッフたちと面談をし先が無いと思い辞めて行った。
今いる練習生の中には、ジニョンを苦しめる奴はもう1人もいない。
俺は、ジニョンを抱きしめた。
「良かったな、ジニョン。」
「ヒョン?」
「もう、お前を苦しめる奴はいないから安心しろ。」
「ありがとう。ヒョン。」
俺とジニョンは宿舎に戻り2人でお祝いをした。
オーディションの時から、ずっと2人で頑張ってきた。
だから2人でデビューが出来る事がすごく嬉しかった。
俺たちは、興奮してなかなか寝付く事が出来なかった。
突然、ジニョンが声のトーンを変えた。
「ヒョン、今回は本当にありがとう。」
「お前も、もっと早くに相談しろよな。」
「だって、ルールならしょうがないって思うじゃん!辞めたくなかったし。」
「だからって。」
「だって、ヒョンといたかったんだもん。」
「えっ?」
「ずっと、一緒に頑張って来たんだもん。こんな事で大好きなヒョンと離れたくなかったんだもん。」
「ジニョン?」
「わかってるよ。ヒョンがそうじゃないって事は、でもそのお陰で我慢が出来た。」
「そうか。」
「聞いてくれる?」
「ああ。」
「初めて先輩に呼び出された時すごく怖かったんだ。あんな事されると思わなかったし。嫌でしょうがなかったけど反抗すれば叩かれたし、乱暴だった。何人もの人としなきゃいけない時もあった。
だから、すぐにいなくなってくれてホッとしたんだ。」
ジニョンの恐怖心はとてつもないものだったのだろうと思った。
「先輩が、いなくなった後も他の先輩たちが次から次へと誘って来たんだ。嫌で嫌でしょうがなかったんどけど、後輩達に同じ思いはさせたくなかったから。」
「よく我慢が出来たな。」
「ヒョン?なんで、僕が我慢出来たかわかる?」
「ごめん。わからない。」
「そうだよね。…ヒョンには申し訳ないけど、僕はヒョンとしてるつもりでいたから。」
「えっ?」
「ごめんね。気持ち悪いよね。」
「ジニョン?」
ジニョンは顔を覆い泣いていた。
俺は正直、男を好きになるという事はよく分からなかった。
でも、ジニョンに大好きと言われたのは正直嬉しかったし、守ってやりたいと思った。
俺は、その瞬間ジニョンにキスをしていた。
ジニョンの唇はしっとりとしていて気持ち良かった。
「ヒョン、なんで?」
「ジニョンが、可愛いと思ったから。」
「うそ…だ…。」
「うそじゃないよ。」
「ありがとう、ヒョン。」
「何が?」
「僕の事、可哀想だと思ってくれたんでしょう。でも、無理はしないで。ヒョンは違うんだから。」
「確かに、俺は男が好きな訳じゃないけど、ジニョンだからキスしたかったし、ジニョンだったら抱けるかもしれないと思ってる。」
「ヒョン?本当にそう思う?僕の事抱ける?」
「ジニョンだったら…。してもいい?」
「うん。」
俺は、再びキスをしジニョンを抱いた。
「んっ…はぁ…ふっ…。」
俺は、先輩たちが何度もジニョンを抱いたのが分かった気がした。
ジニョンは、その辺の女の人より色っぽかった。憂いのある表情や艶かしくしなる体にハマってしまう。
吐息まじりの声で、ヒョンなんて呼ばれたら手離せなくなる感じにさえなる。
そして、極めつけはジニョンの唇。
触れても触れてもまだ離したくない位に気持ちいい。
俺は、ジニョンが男である事を不思議に思ってしまった。
先輩たちがそうだったように、俺もジニョンを離したくないと思ってしまった。
そして、他の誰にも触れさせたくないと…。
目が覚めると、ジニョンは俺に抱きついて眠っている。
そんな姿が愛おしくてたまらなかった。
そっと、ジニョンの髪を手で梳かし頬に触れる。
「ヒョン?」
「うん?」
「抱いてくれて、ありがとう。」
「ああ…。」
「これからも、仲間でいてね。」
「もちろん。」
ジニョンが、俺から離れようとした。
咄嗟にジニョンを引き寄せ抱きしめた。
「えっ?」
「ジニョン?」
「うん?」
「好きだ。」
「ヒョン?」
「ずっと、俺の側にいて。」
「ヒョン?何言ってんの?」
「本気だよ。ジニョン、俺の恋人になって。」
「おかしいよ、なんでそんな事。」
「ジニョンとキスをして抱き合ってわかったんだ。この先、ジニョンが他の奴と抱き合うなんて嫌だ。他の奴に取られたくないって。」
「ヒョン?本気で言ってるの?」
「当たり前だろう。俺はジニョンが好きだよ。」
「ヒョン…。」
ジニョンは、泣きながら俺に抱きついて来た。
「返事は?」
「はい…。」
あれから5年たった今も俺達の関係は続いている。
これまでの間には色々な事があったが、2人で乗り越え絆はさらに深まっている。
今回、俺たちはJJprojectの活動を再開する。
絆が深まった今だからこそ見せられるパフォーマンスがあるはずだ。
あの頃とは違った2人を…。
今のオレ達を…。
愛するジニョンと一緒に…。