GOT7 短編
□想い出
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僕は、今とてつもなくスランプに陥っている。
誰かに聞いて欲しくて練習生のユギョムを誘い話を聞いてもらっていた。
ユギョムは、何かを言うわけでもなくただ黙って聞いてくれた。
本当なら、パートナーであるジェボムヒョンに相談するのが一番なのだがなんとなく話にくかった。
「ごめんな、ユギョム。こんな話の相手をさせて。他に思いつかなかったから。」
「ジニョンヒョン?」
「うん?大丈夫だよ。話を聞いてもらって少しスッキリしたし。」
ガチャ
「おい、ジニョンいるか?」
その時、扉の開く音とヒョンが僕を呼ぶ声がした。
僕は、泣き顔を見られたくなくて咄嗟に壁際の奥にいって隠れた。
ユギョムには、先に戻ってくれとお願いした。
「あれ?ユギョム。ジニョン見なかったか?」
「見てないです。」
「そうか、どこ行ったんだよ。」
「じゃぁ、僕戻ります。」
「ああ。」
ユギョムは、ヒョンに挨拶をして部屋から出て行ったのに、ヒョンは、何かを感じてるのかなかなか部屋から出て行こうとしなかった。
僕は、まだ涙が止まらずヒョンに聞こえないように時折鼻をすすっていた。
しかし、勘のいいヒョンはすぐに僕がいる事に気付き壁際まで来た。
「ジニョン?」
「・・・。」
「どうして、こんな所に?」
「・・・。」
「ずっと探してたんだぞ。」
「なんで…?グスッ。」
「お前、泣いてんのか?」
「・・・・。」
「悪い。今日、お前の様子が少しおかしかったから気になってさ。なんかあるんだったら聞いてやろうかと思って。」
「あり…がとう…。」
ヒョンは、僕の正面に座りここに来いと言わんばかりに両手を広げた。
僕は、大人しくヒョンの所に行った。
ヒョンに抱きしめられると幾分か気持ちが落ち着いて来た。
「なんで、こんな所で泣いてたんだ?」
「・・・。」
「俺には、話せない事?」
「違う!ただ、僕今スランプなのかな?って思ってそしたらどうしたらいいのかわからなくなっちゃって。ここに来た。」
「で、ユギョムに聞いてもらってたの?」
「・・・。」
「俺が、聞いてやるのに。」
「ごめんなさい。」
「ジニョン?」
「ヒョンには、言えなかっただもん。でも、誰かに聞いて欲しくて。」
「それで、楽になったのか?」
「うん。話したら少しスッキリした。」
「それなら良かった。次からは俺に話せよ。」
「うん。」
なんか、ヒョンがすごくカッコよく見えた。
今、ヒョンの側で座っている自分が照れくさかった。
僕は、ヒョンから離れようとした。その瞬間、思いっきり手を引っ張られヒョンに凭れ掛かる形になった。
「ヒョン?大丈夫?」
「あぁ。」
「なんで急に引っ張ったの?危ないじゃん。」
「ジニョンが逃げようとするから。」
「えっ?別に逃げようなんて思ってないよ。」
「本当に?」
「うん。ただ、ヒョンがカッコ良すぎるから少し離れようかと思って。」
「なんだよ。それ。」
ヒョンは。僕に近づき唇を重ねてきた。
僕は、驚いたが素直に受け入れていた。
ヒョンの唇が離れると少し寂しい気持ちになった。
「ジニョン?これからはもっと俺を頼って。」
「いいの?」
「もちろん。大好きなジニョンに頼られるのは嬉しいよ。」
「本当?ヒョン本当に僕の事好き?」
「ああ、だからお前の事心配もしたし、ユギョムに嫉妬もした。俺は、ジニョンとずっと一緒にいたいんだからさ。」
「僕も、ヒョンが好きだから嬉しいな。これから先もずっと一緒にいてね。」
「ああ。」
あれから月日は流れて、今現在も僕達は一緒にいる。
あの時のレッスン場は今でも思い出の場所になっている。
懐かしくなってその場所に行く時もある。
今日もまたこの場所に来て、あの時の事を思い出していた。
「ジニョン?」
「ヒョン!」
「また、思い出してたのか?」
「うん。僕達の始まりの場所だから。」
ヒョンは、僕の肩を抱きキスをしてくれた。
「今日は、ジニョンの部屋に行ってもいい?」
「もちろん。いいですよ。」
いつまでも変わらない思い出があれば、僕達はこの先もずっと一緒にいる事が出来るだろう。
変わらぬ気持ちと思い出の中で・・・。