あなたの専属になってもいいですか

□あなたの専属になってもいいですか 4
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暫くすると、お仕事が終わられたのかジェボム様からお呼び出しがあった。

お部屋へ行き、呼び鈴を鳴らすと中からジェボム様のお声とは違う声が聞こえてきた。

一緒にお仕事をされていた方かな?


ガチャ

「どなた?」

えっ?

出てきた方の姿を見て驚いた。

お風呂上がりといった感じだろうか。

バスローブ姿だったのだ。

「あっ…あの…ジェボム様よりご連絡を頂きまして…。」

「ああ。ちょっと待って。」

「おい、何勝手に出てんだよ。」

「いいじゃん。別に。」

後ろから出て来たジェボム様もバスローブ姿…。

なんだ…そう言う事か…。

なんか、馬鹿みたいだな…。

僕は、気持ちを切り替えた。

「ジニョン。急に悪かったな。」

「いえ、何かご用がお有りでしょうか。」

「いや、そう言う訳でも…。」

「ご用が無いようでしたら、私は失礼させて頂きます。」

「えっ、いや、ちょっと待ってくれ。」

「何か?」

ジェボム様にしては珍しいな。

何か言いたいのだろうか。

でも、今は何かを聞くほどの余裕が無い。

「本日は、もう遅いですからお休み下さいませ。ご用がお有りでしたら明日改めて伺わせて頂きます。」

そうお答えし、僕はジェボム様のお部屋を後にした。


なんだ…。

そうか…。

からかわれていただけだったんだ。

なんだ…。



「ジニョン?」

「マークさん?」

「どうしたの?何かあったの?」

「いえ、何も無いですよ。」

「じゃあ、何で泣いてるの?」

えっ?

マークさんにそう言われて僕は顔に触れた。

そう…気付かぬうちに涙を流していたのだ。

どうしてだろう?

なんで、涙なんて…。

そんな…ジェボム様はお客様であって…。

違う。

大切な人なんだ…。

彼が…。

だけど、どうする事も出来ない。

してはいけないんだ…。


今になって、マークさんの言ってた事が理解出来るなんて…。

そうだよね。

夢を見せて貰ってたんだ…。

ジェボム様なら、なんて思ってしまった僕が馬鹿だったんだ。


戻ろう。

ただのお客様とホテルマンに。

そうすれば、こんな思いしなくても良いんだから。


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