my heart
□my heart 5
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幸せに感じる毎日が続く中、ある日とんでも無い事が起こった。
あの日以来、僕の事を手伝ってくれていたジェクの姿が見当たらない。
「あの、ジェク知らないですか?」
「仕事で外に出てんじゃないのか?」
仕事か…。
ところでヤクザってどんな仕事してるんだろう?
ガタガタ
えっ?
「おい!早く部屋に運べ。」
「はい!」
何?何が起こってるの?
声がする方を見ると、組の人達何人かがケガをしている。
頭から血を流してる人、真っ赤に染まったワイシャツの脇腹あたりを押さえている人…。
「ジニョン!」
「はっ、はい。」
「お前は、ユギョムを連れて部屋に行ってろ。」
「で…でも。」
「いいから!絶対出てくるなよ。」
いつものジェボムさんと違う。
「は…い…。」
きっと、組にとって大変な事が起こっているんだ。
何も知らない僕が口を出してはいけない。
僕は、ユギョムを連れて部屋に向かった。
通りすがりにすれ違う人は、痛いはずなのに『ごめんなジニョン。変なとこ見せちまって。』と声を掛けてくれる。
そんな事ないよ…。
僕こそ、みんなを手伝ってあげられなくてごめんなさい。
部屋に入ると、今あった事を思い出し急に怖くなった。
みんなあんなにケガをしてるのに、大丈夫なのだろうか?
それに、ジェクは?
もしかして…ジェクも何処かで?
いや…ジェクなら大丈夫だろう。
たぶん『よう!』なんて言って帰ってくるはず。
そんな風に色んな事を考え始めると悪い方向にしか考えられなくなる。
まさか…ジェボムさんも…。
イヤだ。
無事に戻って来て…。
不安な日々が続く中、日に日に屋敷内は慌ただしくなりケガ人も増えていく。
どうやら、他の組との抗争が始まっていたらしい。
部外者の僕がしゃしゃり出るのはルール違反かも知れないけど、ジェボムさんが言ってた…。
僕達は、血の繋がりがなくても家族なんだと…。
それなら、なおさら家族を守らなきゃ。
ケガをしている人達の所に行き、僕はお手伝いをし始めた。
始めは、みんなに怒られもした。
だけど…。
『家族だから!僕もみんなの役に立ちたい!』
「そうだよな。ジニョンは俺達の家族だもんな。」
「うん。」
「よし、じゃあこれ頼む。」
「はい!」
『ジニョンさん、有難うございます。』
「よし!ヨンジェ。ベム。みんなの手当てしよう。」
『はい!』
僕は、屋敷に残っていたヨンジェとベムと一緒にみんなの看護をし始めた。
食事の用意をし、傷の手当てをし、着替えをさせてと忙しい毎日だが、みんなを助けたいという気持ちが僕達を動かしてくれていた。