再会のコント合わせ 3人は、気が合わなかった。 合わない方のが、多かった。 其の中でピッタリと気が合った事が1つあった。 …―――…異性は“×”…―――… 世間でも良く在る事だ。 好き嫌い嗜好から苦手意識や恐怖感。 男尊女卑、女尊男卑、男女間摩擦、男女不平等。 何も珍しい事じゃ無い。 只、そう言う思い込みから来る偏見なのか、経験から来る差別なのかは、人、其々(ソレゾレ)だが、3人もソレを持ち合わせて居た。 あの女子3人との対面も、例外では無い。 関わると碌な事が無いと決め付け、面倒事を起こさない様、波風を立てずに自己紹介を済ませ、後は意識が戻ったら、おさらばだ。 そう、思って居た。 だが、しかし、現実は手厳しいらしい。 幼虫型から、人型の様な形に変わって行く、仮に、此れを俗一般的に言う幽霊と名付けようか。(霊感なんぞ無いが…。) 其の大群から追われに追われ、逃げてただけだった。 其れしか、術が無かった訳では、無い。 只、出し惜しみをして居ただけなのだ。 しかし、其れだけでは、現状、厳しく成って来て…、面倒臭がりながらも、渋々と、互いの“力”を行使し、応戦しながら、脱出を目指して居た。 行ける!此処から、脱出、出来る!そう3人が思った所で、ハプニングってヤツは起きた。此れが俗に言う≪油断大敵!≫と言うヤツなのかもしれない。 此処は、迷子になる確率が、ハイレベルの難所の偽葬殿の中だと、忘れて居た3人は、落とし穴や回転式の壁やらに物の見事に嵌ってしまい、バラけた上に、迷宮により深く呑み込まれた。 ―――― ★ ―――― 気が付くと、梁(ハリ)の天井を見て居た。 (風鵺)「Oh!漸くGood-Morning?」 (志音)「?」 急に声を掛けられ、志音は我に返る。 視線だけを動かすと、屍累々と言う名の血の海の中に佇み、自分を見下ろして来る女と目が合った。 先程、見た女の1人だった。 確か名を…天囃子 風鵺とか、言ったか。 いや、其れよりも……―――、 (志音)「コレ、お前が殺ったのか!?」 屍の中に佇む風鵺に驚いて、ガバリと起き上がる。 (風鵺)「んな訳ナッシング!ウチ、チキン!I am King of Chicken!!」(訳:私は臆病者の王様です。) これまでの経緯をご説明致しましょう。 二人の間に散らばっている幽霊達の屍は…、いや、屍に“近い”幽霊達は、志音が寝てるのを良い事に、襲い掛かってしまった馬鹿達の末路です。 誰よりも寝相の悪い志音は寝た侭、襲って来た幽霊達に、パンチやら足蹴りやら色々喰らわせたのです。どの幽霊も一発喰らっただけで倒れました。所謂(イワユル)1発KOです。 現に、其れを証明する様に、志音の手足の届く範囲内には、幽霊が1匹たりとも倒れておらず、古びた床が其の姿を覗かせているだけでした。 風鵺がして居た事と言えば、持ち前のチキン回避能力で、志音に殺られて、飛んで来る幽霊達を、避けまくって居ただけです。 (喧花)「オイ風鵺!勝手に離れんじゃねーよッ!!」 ゴドンッ! 回転式の壁を、有り得ない脚力で、力任せに、押し倒し、部屋の中にズカズカと入って来る喧花。 片腕には、人形を片腕で抱きかかえる様に、摩耶を抱えて居る。 (風鵺)「ブーッ!元々は喧花が悪いんじゃんっ!」 幽霊へと変化した物体から応戦しながら逃げてい居る途中、バランスを崩し、回転式の壁へと風鵺を放り込んでしまったのだ。 (喧花)「本当、摩耶じゃ無くて良かったぜ☆」 (風鵺)「オィイイイイイイイッ、ナンデャネェン!!」 (摩耶)「……………。。。」 『差別だ、贔屓だ!』と喧しく喚き出す風鵺。 『あー、煩ぇ』と耳を掻っ穿(ポジ)る喧花。 本当に人形の様に、無言&無表情の摩耶。 如何(ドウ)やら、此の部屋は、触れて無くても、相手と意思疎通等、“普段”では、当たり前の事が出来る、“同調部屋”の1つの様だ。 此処に辿り着くまでに、色々な部屋を通過して来たが、そんな部屋が、数ヵ所あった。 (喧花)「あ゙?誰かと思えば、シャイ☆オッカーマ君じゃん。」 (志音)「誰が『シャイ☆オッカーマ君』だ!!」 どっちも合っていないと、志音は怒鳴った。 志音は再度、厄介な3人組に遭遇した自分の運の悪さを嘆いた。 (三郎神(仮))「君達って、本当に愚駄愚駄が好きだよねー。」 (太郎神(仮))「志音チャンよぉ。さっき、したくもない親切心で言ってやっただろ?」 (次郎神(仮))「3罪科のみ、ぞ。」 志音が小さな嘆きを覚えた時、急に3体の青年が、呆れに呆れ果てた表情を伴って、部屋の中に揃って姿を現した。 And that's all…? (それでおしまい…?) |