チキンはぁと何本勝負?

□チキンはぁと何本勝負? 10
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ベールに包まれる相生(アイオイ)






濁った白

閉ざされた黒

爛(タダ)れた赤

沈んだ青

嘲笑う黄

蔓延(ハビコ)る緑

引き摺り込む紫






其々が其々の色を伴った夢を見た。

振り返ると言う事すら、近頃は、すっかり忘れてしまって居た、言い様の無い懐かしさを、伴(トモナ)う過去の夢。


微睡(マドロ)む中、誰かに呼ばれた気がして、振り返る。

けれど、其処には誰も居ない。



空耳かと首を傾げると、また、“聲”が聞こえた。

自分の名前を呼んで居る。そして、何かを、叫んで居る。

けれど、再度、振り返っても、辺りをグルリと見渡してみても、誰も、何も見当たらない。


そんなだから、戸惑い、同時に焦る。

何故か、気持ちが、叫ぶのだ。

どうしても行かなければならない、と。





――――…透明…――――






涙が溢れ、零れた。

ポタポタと次々に頬を伝い、滴(シタタ)り落ちて行く雫。


また、名を呼ばれた。

足元で、落ちた筈の涙が地に着く寸前で止まり、チカチカと光を発し、点滅を繰り返して居た。

やがて其れ等は1つに集まり、光の珠となり、フワリと丁度、目の高さまで舞い上がった。

暫くは遊ぶ様にフワリフワリと浮遊した後、光の珠は形を歪め、やがて、小さな胎児の姿をとった。


其れは、自分の下腹部へと、吸い込まれる様に、淡く滲(ニジ)み、入り込んで行く。

其れに対し、身体が異物感を訴えたのは、僅か一瞬。違和感は、直ぐに消えた。まるで、体内の一部として溶け込んだ様に…。


クスクスクス、クスクスクスと楽し気に溶けた“ソレ”は、笑う。

安堵した様に、有難うとでも言う様に、此れからの未来に光を見るかの様に、極上の笑み浮かべて…。



気付けば、御腹に手を当て、笑い合って居た。





(下腹部が、灯る様に温かく成った気がした。)






軽やかな白

包み込む黒

燃える赤

クールな青

輝く黄

芽吹く緑

エキゾチックな紫











And that's all
(それでおしまい…?)

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