華麗(?)に奪還 散々な目に遭った喧花だったが、其の侭、ご臨終となる事は赦されなかった。 何故なら、こんな目に遭った八つ当たりと、気付け覚ましにヘルメットで、『起きろ〜!』と風鵺から頬を往復ビンタされたからだ。 部屋中にキラキラと輝きながら舞う危ない凶器となった硝子の破片達。 其れが舞った途端、割れた窓の外から視界を黒一色に覆う程の大量の鴉が、風鵺の後に続く様に乱入して来た。 (太郎神(仮))「ブハッなんッだよ!?」 わざとらしく太郎神(仮)達の視界を遮る様に羽をバタつかせる鴉達は、 (次郎神(仮))「うぐッ!」 次郎神(仮)の頭を突付いたり、顔面に体当たりなどの妨害を始める。 (三郎神(仮))「アデッ!!・・・チッ!!知らないよ!」 手を左右に振って鴉を振り払い続ける三郎神(仮)。 視界をしつこく覆う鴉共を鬱陶しく思い、舌打ちをして太郎神(仮)の質問に鬱陶しさを払う様にヤケクソになって怒鳴り答える。 太郎神(仮)の頭からは、鴉に気を取られて居たせいで、頭上に落ちてくる硝子の破片に気付けず、其の侭グサッと刺さって居た。 そして其の箇所からは、喧花と同じ様に噴水の様に、ピューッと血が小さく細く噴出して居る。 そんな散々で、視界が途切れ途切れになる中、太郎神(仮)は狭い視界の中、鴉とは異なる色を持つ黒を捉えた。 (太郎神(仮))「ア゙ッ!此の野郎!!」 逃がすまいと、其の黒の者の腕を掴む。 (?)「ーーッ!?」 (太郎神(仮))「捕まえ…」 (喧花)「デヤァアアアアアアア!!!」 太郎神(仮)の顔が、『捕まえた!』っと、勝利の笑みに変わった瞬間、其処へ喧花の蹴りが入る。 顔面を蹴られた太郎神(仮)は、捕らえた者の腕を離してしまい、バランスを崩し後ろへと倒れた。 3人が鴉を相手にしてる間に、復活した喧花は、太郎神(仮)に腕を掴まれていた者を、素早く横向きに抱き上げる。 そして、其の侭、部屋のドアをドガンッ!!と蹴り上げ、逃走する。 (三郎神(仮))「チッ!」 其の様子を、視界の端に捕らえた三郎神(仮)は、眉根を寄せて上へと吊り上げ、思いっ切り舌打ちをする。 (三郎神(仮))「ん?」 そんな三郎神(仮)も、逃げて行こうとする、もう1人の侵入者に気付く。 頭に再度、ヘルメットを被り、両手で抑えて、逃げて行く、自分にとって憎い風鵺の姿。 (三郎神(仮))「逃がさ…ない、よ!!」 (風鵺)「ぅおっぷす!?」 走り去ろうとする風鵺に、三郎神(仮)は足払いを掛ける…。 足を引っ掛けられた風鵺は、体勢を崩しそうになるが、何とか堪えた。 そして、其の侭、先程、喧花が蹴破ったドアへと向かい、逃走を果たした。 そんな彼女等の全員脱出劇を見届けると、鴉達は役目を終えたと言わんばかりに…窓から出て行った。 鴉の集団が去り、視界が完全に開き切った後、あたりを見回す。 (次郎神(仮))「人質は…、」 喧花と風鵺の姿は無く、解(ホド)かれ床に放置された縄が散らばって居るだけだった。 (太郎神(仮))「逃げられ…ん?」 ドアの方を見ると先程逃げた筈の3人が立って居た。 『(何故まだ此処に??)』と、彼女達を見て、不思議に思う人外達。 そんな人外達に、喧花はドヤ顔で、 風鵺はニヤリ…と、不敵な笑みを、 摩耶はフッと、嘲笑を浮かべた後、 人外達に向かって、文字の書かれた紙を突き出した。 其れは、彼等には、十二分に見覚えのある文字で…腹立たしい3文字の、言葉だった。 ┌○┐ │ザ|ハハ │マ|゚ω゚) │ァ| // └○┘ (⌒) し⌒ そして…彼女達は、其の後、すぐに、クルリと、可愛らしく、背を向け、走り去った。。。 以前の仕返しを、まんまと倍返しでされた人外達は、こめかみや口元をピクピク、ヒクヒクとさせながら、悔しさに耐えるしか無かった。。。 And that's all…? (それでおしまい…?) |