どうして おなかが へるのかな? (摩耶)「御腹、減った。」 上へ上がる階段を探そうと、皆が動き出そうとした矢先の事だった。 摩耶が空腹を訴えたのは…。 (志音)「〜〜〜っ、あのなぁ!」 文句を、空気を読めと、空腹の1回や2回位、我慢しろと、お説教をしようとして振り向く。 そして振り向き様に見たのは、何処から取り出したのか、お菓子のアソートセットを掲げる摩耶の姿。 お菓子を見た瞬間、自分の腹の虫が鳴いた。 皆の視線が自分の腹に集中するのが分かった。 だから、其の途端、耳までカッと赤くなった。 (風鵺)「どぉうして、おなかが、へるのかな?♪」 (喧花)「けぇんかを、する〜と、へるのかな?♪」 (摩耶)「なかよし、してても、へるも〜んなぁ?♪」 (喧花・風鵺・摩耶)「「「かあちゃん、かあちゃん、おなかと、せなかが…くっつくぞ!!」」」 童謡・唱歌として有名な『おなかのへるうた』を、ノリノリで、合唱する女子3人。 (志音)「〜〜〜〜〜〜ッツ、ッテメー等なぁッ!!」 不可抗力とは言え、自ら、墓穴を掘ると言う醜態を晒してしまった志音。 更に志音の、そんな失態に、追い打ちを掛ける様に、揶揄(カラカ)う女子達の御蔭で、只今より、口から火炎放射を発射致します…と、言う程の赤い顔になる。 いや、最早、耳と顔が赤いだけでは無い。首も手も指も赤い。 はっきり言って、肌が露出して居る部分は、全身真っ赤だ。 此れが所謂(イワユル)“茹蛸(ユデダコ)状態”である。 (摩耶)「因みに、割勘です。」 (志音)「しかも有料かよッ!」 (摩耶)「割り勘とは、参加者の同等割にして代金を支払うことであります。」 (喧花・風鵺)「「俺/ウチ等もかよ!?」」 (摩耶)「3倍返しも可です。」 (喧花・風鵺・志音)「「「いや、何時の時代のホワイトデー!!?」」」 (仙祥)「うん、確かに、腹が減っては戦は出来ぬって言うし、先ずは、腹拵(ゴシラ)えを、してからでも、良いんじゃない?ねぇ、nil。」 (nil)「…別に構わねーぜ。但(タダ)し、俺等が払うのは金じゃねー。」 ペシッと手を差し出して来た摩耶の手を軽く撥(ハ)ね除(ノ)けるnil。 不満そうにする摩耶に、仙祥が綺麗な微笑みを向ける。 (仙祥)「“恩”をあげるよ。あ、もう売っちゃったケド…、」 さっき、助けてあげたデショ? (仙祥)「ね♪」 (喧花・風鵺・摩耶)「「「そう来るか!其の節はどーも!」」」 (仙祥)「どう致しまして♪」 (nil)「交渉成立だな。」 (摩耶)「喧花と風鵺は?」 (喧花・風鵺)「「……ツケで!」」 (摩耶)「鴉金。」 ※カラス金は、一昼夜を期限として高利で金を貸す業者の事である。 (喧花・風鵺)「「せめてトイチ、いや無利子で!!」」 ※トイチは、借入金利が「十日で一割の金利」の略。 (摩耶)「non」(訳:ノン=拒否) (志音)「……お前等の関係って、一体何なんだ?」 ―――― ★ ―――― (太郎神(仮))「あ、彼奴等、腹拵えしてやがる。」 (三郎神(仮))「あのマイペース☆ゴーイングマイウェイさが、ホントに、ムカつくwwwww」 (次郎神(仮))「モグモグモグ…」 (太郎神(仮)・三郎神(仮))「「……何食ってるんだ!!!」」 (次郎神(仮))「モグモグ、ゴックン…やらんぞ」 (太郎神(仮)・三郎神(仮))「「要らねーーよ!!」」 既に手に幾つかの串団子を持ち、食べて居る次郎神(仮)。 ゴロゴロゴロ、グゥ〜〜… 太郎神(仮)の腹の虫が、先程の志音同様、鳴く。 次郎神(仮)と三郎神(仮)の視線と、薄暗い物体の“出来損ない”の視線が一気に集まる。 (太郎神(仮))「…ま、まぁ、食欲は三大欲求に必要なモンの1つだよな!」 そんな次郎神(仮)の横で、赤面をしながら、お供え物の食事の載った膳(ゼン)を出現させ、御椀の蓋を外し、飯を食べ始める太郎神(仮) (三郎神(仮))「君もォ!!??」 先程の爆発で、半分を、自分達が被害を受けない様に、防御壁として使い、生き残った“出来損ない”が、そんな彼等から視線を外し、肩を落とした。 其の様はまるで、『下に居る奴等と同レベルに見えて来た……。』と、軽蔑を語って居る様にしか見えなかった。 其の“出来損ない”達の様子を見て、頭痛が来た様で、痛みを紛らわす為に、こめかみを押さえる三郎神(仮)。 (次郎神(仮))「主(ヌシ)は、食わんのか?」 …どうやら此方も此方で自分の好きな通りに、ゆっくり事を進めて行くつもりらしい。 (三郎神(仮))「(…もしかして、コレって同レベル同士のケンカ程度なんじゃ……)」 そう思って、三郎神(仮)は其処から先の続きを心で呟くのを止める。 理由は勿論、そんな事をしている自分はアホでバカで暇人だ。と、認める事に成ってしまうからだ。 其の代わりに三郎神(仮)は、先程の“出来損ない”達と同じ様に、肩を落とし、更に溜息を吐き捨てた後、成る様に成れ!と思い、自分も食事を食べる支度を始めた。 And that's all…? (それでおしまい…?) |