BOOK

□生まれてきてくれて、ありがとう
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サナ『お誕生日おめでと〜〜!!』

ツウィ『ありがと、サナオンニ』





今日はツウィの誕生日。
2人きりの部屋でプチパーティー。

勿論後で皆んなと盛大に祝う予定があるけれど、どうしても最初は2人で祝いたいからとサナが皆に頼み込んで家を空けてもらった。





サナ『プレゼントは、わーたーしっ』




部屋に飾り付けてあったリボンを体に巻きつけて、冗談混じりに言うサナに、ツウィは距離を縮めて言った。





ツウィ『ありがと、本当に貰っていいの?』

サナ『えっ』

ツウィ『…へへ』

サナ『…真顔でスルーされると思ったのに…』

ツウィ『しないよ、サナオンニ欲しいから』

サナ『そんなん言うても、もうサナはツウィのものやんか』

ツウィ『ふふ、そっか』

サナ『じゃーはいっ、サナだよぉ』




唇を尖らせてリップ音を響かせるサナに、ツウィは急接近してキスをした。





ちゅっ






サナ『あ!!』

ツウィ『…』





にやにやと笑うツウィと
照れているのか手で口を覆うサナ。





サナ『…今日は積極的やん』

ツウィ『ん、』






明らかにハイテンションなツウィ。
誕生日だからか、サナといるからか、幸せな気持ちを抑えられない。





サナ『まあ冗談はさておきっ』

ツウィ『…』

サナ『はい!これ』




サナは大きな袋に入った
犬のぬいぐるみを取り出した。






ツウィ『わ!!』

サナ『大っきいでしょ〜〜』

ツウィ『すごいー』





目をキラキラさせて
大きな犬のぬいぐるみを抱きしめるツウィ。





サナ『コミンジュンの弟や』

ツウィ『ふふ、これじゃ弟じゃなくて親だね(笑)』

サナ『確かに、ひひ』

ツウィ『可愛い』

サナ『大事にしてあげてな』

ツウィ『うん、大事にする』

サナ『ん!』

ツウィ『…ありがとう』






ツウィはサナに向き直ると、
ぎゅっと抱きしめた。




サナ『ふふ』




抱き着いて来たツウィが
可愛くて、頭を撫でると
くすぐったそうに笑う。

そんな彼女は、
ぬいぐるみより遥かに可愛いな、

なんて思いながら。





サナ『サナ、もっとツウィの側にいたい』

ツウィ『…側?』




頭を撫でながら呟くサナを
見上げるツウィ。





サナ『こう見えても、本気でツウィのこと…尊敬してんねんで?』

ツウィ『本当?』

サナ『ん、…私でいいのかなって、時々思うくらいにはね』

ツウィ『…サナオンニ…』

サナ『あのな、こんなこと言うの恥ずかしいねんけど…』






柄にもなくもじもじし始めるサナ。







ツウィ『?』


サナ『こんなに綺麗で純粋な子を隣に置いてる自分がもう、もう、なんていうか、幸せです、ですけど、もっと、もっと隣にいて欲しい、し、行くし、来て欲しい』





サナのらしくない言葉に、
思わず笑いが溢れる。








ツウィ『!ふふ…っ』

サナ『な、何笑ってんねん』

ツウィ『照れてる』

サナ『照れてないからあ!』

ツウィ『顔赤いもん、少し』

サナ『んー…なんや言い慣れないこと言わすからぁ』

ツウィ『…ありがとう、本当に』

サナ『…いーえ』

ツウィ『サナオンニ』




ぎゅ、

ツウィはサナの手を優しく握った。







ツウィ『サナオンニが言った言葉、そのまま返します』

サナ『…へ?』

ツウィ『綺麗なサナオンニの隣に、私を置いてくれてありがとう』

サナ『!』

ツウィ『私の方が、いっぱいありがとう』

サナ『…そ、そんな』

ツウィ『好きです』





ぴたっと止まる2人の時間。





少し遅れて、
慌ててサナが口を開く。








サナ『な、何言ってるん、もう…』

ツウィ『….サナオンニの側、行く、ずっといる』

サナ『…ん、じゃサナも、行く』

ツウィ『うん、』

サナ『…ツウィや』

ツウィ『ん?』

サナ『ツウィが返してくれた言葉をまた返すっ!』

ツウィ『え』

サナ『ツウィや、サナの方がいっぱいいっぱいありがとうって、感謝の気持ちばっかや!ずっと一緒にいるし!ずっと好きやし!もう!好きっ』




言葉の勢いのまま、
勢いよくツウィに飛びつく。

急に飛びついてきたサナに
驚いたツウィは、
ふらっとベッドに倒れ込んだ。





ツウィ『サナオンニ…』






ベッドに押し付けられたツウィ。


そのまま顔を近づけて
唇と唇を重ねた。





ツウィ『ん…っ』

サナ『ん、』






すぐに深くなっていくキス。
しかし途中で動きを止めて

少しだけ離れるサナ。
しっかりとお互いの目が合う。







サナ『…これだけ、言わして』

ツウィ『、ん?』








サナ『…生まれてきてくれて、ありがと』









ツウィが反応するより先に、
サナは再びツウィの唇を塞いだ。











END





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