minayeon

□私より可愛い人
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【※性描写あり】






「えっとあれは…ミナ!」



髪色と長さが同じになったら、後ろ姿では見分けがつかないほど似てると言われていた私達。でも歩き出せば分かるとメンバーは言う。名前を呼ばれた私は振り返ると、一緒に歩いていたナヨンオンニも私と一緒に振り返る。


私の名前を呼んだジヒョは、やっぱミナだ何でもないって隣にいたジョンヨンオンニと笑っていた。たまたま今日は髪も服装も似てるから、分からなかったのかもしれない。
腕を組み直してきたナヨンオンニに引っ張られて、私はまた歩き出す。




「私達、似てるんやね」

「似てないわよ」



好きな人と似てる、そんなことが嬉しくなって照れながら言ったのに、しれっと素っ気なく返して来るオンニに私は唇を少し尖らせる。




「…似てる、のに」




正直、自分でも似てると思う時がある。
でもオンニは似てないの一点張り。
少しくらい認めてくれても良いのに。



「みーたぁん!ハンカチ持ってる?」




走りながら急にこちらに来たモモりん。

ペットボトルの水を零したと言って
白いTシャツが少し濡れてしまっている。
どうやったやこんなところに零すんよ、
私はそう呆れ気味に言った。



「もう…女の子なんやから、ハンカチくらいちゃんと持ってなきゃあかんよ」

「はあい」



そんなことを言いながら私はハンカチを貸してあげる。モモりんは忘れ物がひどいから、隣に誰か付いていないと不安になる。専らジョンヨンオンニが付いていることが多いけど、今日はジヒョと昔話で盛り上がっていたから、私がお世話してあげないといけないみたい。



モモりんとナヨンオンニと3人で歩いていると、ある看板を目に入る。日本初上陸!と大きなPOPでデザインされたお洒落なアイスクリーム屋さん。


あれ美味しそう、とすぐに反応したモモりんに私達も食べようかとお店に入る。こじんまりとしながらもレトロでお洒落な雰囲気と、最新の洋楽が流れる店内に気分が良くなって、3人でメニューを覗き混む。

財布忘れた…と言うから私が奢ってあげるよと言えば嬉しそうに微笑むモモりん。
本当に忘れ物ばかり。



「ごめんねみーたん」

「ええよ、何味にする?」

「チョコ!」

「私はイチゴにしようかな、」



2人が決めたアイスを見て、うーんと考える。種類が多くて迷ってしまう。優柔不断な私の代わりに、隣で迷っていたモモりんが口を開いた。




「ピスタチオは?」

「美味しいの?」

「美味しい美味しい」



モモりんがそう言うなら…
と私はそれを頼んだ。緑色のそれは私もナヨンオンニもまだ食べたことがない味。


アイスを受け取って店内を出て、食べながら歩く私達。ピスタチオなんて初めて食べる味だけど、緑の見た目の割に味は甘くて、思いの外すごく美味しかった。モモりん流石やなあ、といいながらナヨンオンニにも分けてあげると、甘過ぎると不味そうにしていた。



「美味しいけどな…」

「私はこれ嫌い、不味いわ」

「えぇ〜オンニ本気?美味しいやんかあ」




確かにこれが不味ければ他のも美味しくないんじゃ?と味覚を疑うくらいのオンニの感想に、私とモモりんは疑問を投げかける。

口を尖らせるモモりんに
なんとなく視線を向けると…


「ふふっ」


口の端にチョコのアイスがついたまま。
それが可笑しくて、指摘してあげれば恥ずかしそうにしてティッシュも持ってない、なんて言う。私達は妹みたいやなあなんて笑いながら、私が持っていたティッシュで拭き取ってあげた。



「モモやしっかりしなさいよ笑」

「…ごめん」

「今日やばいな」

「うぅ…ほんまごめん」




騒いで楽しくお喋りをしていたらあっという間に宿舎に到着。歩いて帰るのは久し振りかもしれない。車ではあのアイス屋さんに気付けなかったし、たまには歩くのも悪くない。


宿舎にはまだ誰もいなくて、皆まだ外で遊んでるんかなあと思いながらベッドに倒れ込む。

私と同じようにベッドに倒れ込んだナヨンオンニは、すぐに起き上がって私のベッドへと来て、溜息をついて横になった。

クーラーがまだ部屋に行き渡っていないから、近付いて来たナヨンオンニが暑苦しいなあと思いながらも、何も言わずにぼーっとしていると




「ぃたっ」



頬を抓られてオンニを見る。
朝から思ってはいたけれどやっぱり…
もしかして今日は機嫌が悪いのかも。




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