Jitzu

□かわいい先生
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【※性描写あり/ftnr】












いつの間にか惹かれてた。何で好きになったのか、自分でもよく分からないけれど。

大学受験を控えた私は予備校に通っていた。そこで見つけた、美人の先生。先生が担当してくれる授業は分かりやすかったし、分からない人がいたら理解出来るまで授業後に丁寧に教えてた。生徒思いの優しい先生。

年はそう離れてはいないのに、大人っぽくてしっかりしていて、誰にでも好かれている先生が凄いと思った。先生は優しいけど、真面目にやらない生徒には怒る。怒るとちょっと怖いから、先生の授業をとっている生徒に不真面目な生徒はいない。
そして美人だということもあり、小中学生男子の生徒たちからからかわれていたことを見たこともあったけど、それをサラッとかわして柔らかく微笑む先生。単純に、凄いと思った。自分に出来ないことを出来る人に、人は惹かれるもので。人を叱ることが出来て、怖いけど根は優しくて、心の奥にある大人の余裕が垣間見える度にドキドキした。私がいくら大人になってもああはなれないなと思った。

付き合ってください、と告白したのは私の方。先生が私のことを好いてくれていることがすぐに分かったから。立場上先生から言いにくいことだと思っていたし、お互いが想い合ってるのは、先生の様子から見て取れた。
意外と、こういうことは分かりやすいんだね。




「ジヒョオンニ」

私だけが許される呼び方。
先生の持っている授業が終わるのを待って、最近は途中まで一緒に帰るのが日課になっている。

「寒かったでしょう」

そう言ってミトンをした両手で、私の冷たい手をぎゅっと握ってくれる。白くてふわふわのミトンは、最近髪を切って可愛らしくなった彼女にぴったりだ。寒かったけど、私を見つけた嬉しそうな顔を見た瞬間、全てがどうでも良くなってしまうんだ。


「ツウィ、最近勉強頑張ってるね」
「受験、近いですから」
「あと1ヶ月だもんねえ」
「…はい」


1ヶ月か。本当に早い。
先生と出会った頃は春で、付き合ったのは夏。もういくつかの季節を、彼女と過ごしてる。



「そうだツウィ、お腹空いてる?」
「…うん、ちょっと空いてます」
「うちおいでよ 昨日クリームシチュー作りすぎちゃって、1人じゃ食べきれないの」



彼女の家は予備校の近くだから、何度かお邪魔したことがある。私は親に夕飯いらないと連絡をして、彼女のお家で食べていくことにした。



「お邪魔しまーす」
「ん、適当に座って。ごめんね散らかってて」


付き合ってから分かったことがある。
ジヒョオンニは完璧人間じゃない。勿論、完璧な人間なんていないけど。ジヒョ先生としてのオンニはあまりにも大人だったから。

慌てて家を出てきたからなのか、
玄関の靴が四方八方に転がってるし、洗濯物も室内に干しっぱなし。それに、


「…ふふ」


彼女が靴を脱いだら、靴下が左右で違ってて、思わず笑いが溢れてしまう。どれだけ朝、急いでたの。意外とドジな彼女は、私の視線に気付いて恥ずかしそうに、慌てて履いてた靴下を脱いだ。


「いやこれは、朝…急いでて」
「ジヒョオンニ、意外とドジですよね」
「あーもうそんなのどうでもいいでしょ、
早くそこ座って」


はい、そう言って指差された白い座布団に座る。エプロンをしてせかせかと準備をし始める彼女。

私は彼女の家に遊びに来ることが好きだった。普段はしっかりしている彼女しか知らないけど、家に行くと、こうやって可愛らしところも見れるから。でもからかうと、怒られてしまうけど。




今日はこっちに座る、とか言って彼女は私の横に座った。テーブルの幅、そんなに広くはないのに。そう思って少し横にずれるように移動すると彼女も私に合わせて近づいて来る。あんまり近いと食べにくいからと思って移動しているのに、それでも距離を詰めて来るから、遂に私はテーブルの隅っこに追いやられてしまう。

「あ…あの、」
「ん?」

少しだけ意地悪な表情で顔を近づけて来る。
黙り込んでいたら顎を急に掴まれて、すぐに重なる唇。驚いて固まってしまう私をみて彼女は面白いなんて笑ってる。急速に上がる心拍数。


「へへ、じゃあ食べようか」


そう言って私から離れてしまうのが何だか寂しいけど、何も言わずにいただきます、と手を合わせる彼女を見て私も手を合わせた。彼女の手作り料理を食べるのも数回目。手作り感満載の暖かいそれを口に含もうとして、「待って」なんて言われて、私の持っているスプーンを彼女の手に持ち替えられた。ふー、ふー、と口を窄めて冷ましてくれるジヒョオンニ。


「はいっ」


スプーンから私に移された視線にトクンと胸が熱くなって、頷いてそれを私は口に入れた。美味しい?なんて、美味しいに決まってる。少しだけ子供扱いをされているのが気に食わないけど、大人っぽいオンニにそんな風にされてどきどきしているのも事実で。

隣に座っていると、胸の谷間が視界にチラついて気が気じゃない。私は食事に集中して、振られた話題をうんうんって聞いていた。



食事を終えた私達はソファで寛いでいた。面白くないテレビを見て彼女はたまに肩で笑ってる。面白くないけどオンニが楽しそうだから良いや、そう思って私はぼーっとテレビを眺めてた。すぐ隣にある体温、彼女の楽しそうな笑い声、ああ、幸せだなー…。







.







「…ん、」


目を開けるとすぐ近くに彼女がいて、すやすやと寝息を立てて私にもたれかかっている。2人して寝てしまっていたみたいだ。はっとして時計を見ると7時30分を過ぎたところ。寝ていたのも30分程度の様で、安堵の息を吐いた。それにしても…


ちらり、と彼女に目をやる。
起こさないように起き上がろうとするけど、また彼女の胸が目に入って私は慌てて目を背けた。失礼だ、寝ているのにこんな風に見てしまうなんて。

そう思いながらも、気持ち良さそうにぐっすり寝てしまっているのを良いことに、そこばかり見てしまう私がいる。角度から丁度黒の下着が見えて、ごくりと喉を鳴らした。
下半身が熱を持って行くのが分かる。だめだ、抑えないと。心はそう思っているのに、身体は言うことを聞かない。

起こさないように、ゆっくり手で興奮した下半身を押さえて平常心を保とうと努める。けれど、それは大きくなるばかりで今起きたらどうしよう、なんて説明しよう、と言い訳ばかりを考えていた。おさまれ、おさまれ、そう心の中で唱えているとき、


「ん、、ツウィ、」


ぱち、と目を開けた彼女と目が合う。
どうしよう、何で今…最悪のタイミングだ。
戸惑いを隠せない私を見て、彼女の目線はすぐに私の下半身へと移った。


「…あ、あの…ごめんなさい」


謝ることしか出来ない、嘘や言い訳するのは得意じゃない。彼女はしゅんとした私の頭に手をぽんと置いてふふ、と笑った。


「えっちなこと考えてたの?」
「…」


.
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