BOOK

□おっぱい
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時刻は午後8時。スケジュールを終えた私はリビングでアイスを食べながらぼーっとしていた。丁度メンバーのお風呂待ちをしている時間だ。


一緒にお風呂入るのが嫌だと、チェヨンに言われてから一緒に入らなくなって数年。
昨日チェヨンがツウィと一緒にお風呂に入っていたのを見て、なんであの子なら良いんだと思いもやもやしながら頬張るグレープ味の棒アイス。モモが肩に寄り掛かってきたのを重いと思いながらも受け入れてあげる。

基本的に1人じゃないと入らない彼女が
お風呂でツウィときゃっきゃ騒ぐ声が聞こえたものだから、不思議で仕方なくて。




なんだよ、オンニ寂しいじゃん。




私は辺りを見渡す。リビングにはモモとナヨンオンニとダヒョンしかいない。




「モモや、今誰お風呂入ってる?」

「チェヨニ。次モモやからな」

「…ん、いいよ」




なるべく早く入りたいけど、
チェヨンが入ってるという返事にはっとして適当に答えてしまって、順番待ちをしていたはずがモモに先を越された。


昨日ツウィと2人で入ってたんだから、
今日ももしかしたら行けるかもしれない。



私は食べかけの棒アイスを、口を半開きにしてスマホをいじるモモの口に突っ込んでお風呂場へ向かった。あひがと〜、ともごもご喋るモモが面白くて少しにやけながら、私は脱衣所のドアを閉めた。




服を脱いで、下着を忘れた事に気付くが、
まあ、誰が見るわけでもないし良いかとバスタオルを巻いて浴室のドアを開けようとした時…私はあまりにも浴室が静かな事に気付いた。チェヨンは私の次にシャワーが早かったはずだし、久し振りにゆっくり湯船にでも浸かっているのかも。そう思って、そーっと、浴室のドアを少しだけ開けた。




ちゃぷ、ちゃぷ、
チェヨンが動く度湯船が少し波を打って小さな音を立てる。ゆっくり浸かっている訳でなさそう。こちらからじゃ後ろ姿しか見えないから、何をしてるのかよく分からない。




よいしょ、よいしょ、小さな声でそう呟いて、脇の下から胸にかけて必死に手を動かしている。


…ん?本当に何してるの?



私は浴室に入って、チェヨンの顔が見える方に回り込む。チェヨナ〜、一緒に入ろう、そう言おうとした言葉は、目の前の光景に唖然として最後まで言い切れなかった。




それは、

チェヨンが自らの胸を両手で覆って上に持ち上げている姿だった。






目を合わせて固まる私達。





あぁ、そういうことか。
状況を理解した私は

思いっきり吹き出した。





「やぁぁぁ!!」




私が笑いだしたと同時に
大声で怒鳴るチェヨン
そりゃそうだ。これは見てはいけなかったかも、見られたくないものだったはず。

なのに、本当に申し訳ないけど
私の笑いは止まらなかった。




「ごめ、ちぇよん…っひひ、あははっ」

「やぁ!出てって!」

「いや、ひひっ…一緒に入ろうって…ひっひっ」

「出てってぇ!」

「わぁ!」



ビシャ!と桶ですくったお湯が浴びせられて、私はびしょ濡れになった。ごめんと謝るも何度も私にお湯をかけて来るから、私は叫びながら浴室から退散した。





「ジョンヨンオンニなんて大っ嫌い!」




挙げ句の果ての大嫌いと言われて、
脱衣所までびちょびちょになってしまって
がっくりと肩を落とす。



あんなに怒ることないのに、、
私は落ち込みながら、服を着て濡れた床を綺麗に掃除した。





結局私がお風呂に入れたのは1番最後だった。出てきたチェヨンに、オンニは今日最後だからと言われて渋々頷いてしまったのを後悔する。でも、あんなに怒るとも思わなかったし、早く仲直りもしたいし言うことを聞くことにした。






やっとお風呂から出た私は
チェヨンに謝ろうと、コンビニで少しだけ高めのマンゴープリンを買ってきて仲直りを試みることに。リビングのドアを開けてチェヨンを探す。




「チェヨナ〜」




すると、ソファに珍しくミナの姿。ここでゲームをしてるなんて珍しい、と思いながら見てると、ミナの後ろに隠れるようにして固まってるチェヨンを発見。



「あ、いた、なんで隠れてんの」

「別に隠れてないし」



わ、めっちゃ怒ってる…




「チェヨナ、あの、言っとくけど何も見てないから、いたっ」



何かが顔面に投げられて、目を瞑る。
落ちたそれはスマホのケース。




「見たくせに。オンニに私の気持ちなんて分かんないくせに。ねーミナオンニ」

「…え?私?」




頭にはてなマークが浮かんだミナに背後から抱きついて、ミナ越しに私をじろりと睨んでくる。







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