白執事
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場所を移り、シエルの書斎
椅子に座り新聞を広げるシエルと、そんな彼と机を挟んで立つ少女とセバスチャン
「では、クラウス様が直々に本国へ?」
「ああ、例の品が手に入ったと連絡があった。今回は大分手こずったようだな。
6時にはこちらに着くそうだ。商談は我が家で行う。
どういうことかわかるな?セバスチャン。シロ」
「わか、てる……」
「心得ております。必ずやクラウス様にご満足いただける最高のおもてなしを……」
挑発的に笑みを浮かべるシエルの顔は、意地悪を企む子供の様にも見えた
そんな少年に、2人は頭を垂れる
セバスチャンはにこやかに微笑みながらそう言った
「……ときに坊ちゃん」
セバスチャンは途端に顔色を変えて胸元に手を当てて、気分が悪いという様に顔を青ざめさせる
「先程のレモネードには一体何が?ムネヤケが止まらないんですが」
「タナカ特製゙味○素゙入りレモネードだ。
僕とシロは一口でやめたがな。砂糖と間違えたんだろうな。白いし」
実は少女は先ほど、シエルにレモネードを譲ってもらっていた
有難く貰おうとしたが、1口、口に含むと可笑しな味がした為シエルに返却したのである
セバスチャンは額に血管を浮かび上がらせ、口の端をピクピクと引きつらせながら
怒りを押し殺したような声でシエルに話しかける
「……っ…。ゴホンッ。では私たちは準備をいたしますのでこれで」
「ああ。頼んだぞ」
「お任せください」
手袋をギュッ、とはめ直したセバスチャンと共に書斎を出ていく少女
セバスチャンと並んで歩いていると、ふいに思い出したようにセバスチャンは少女に話しかける
「そういえばシロ。何故レモネードを飲む際に止めて下さらなかったのです?あなたは味の変化に気がついていたのでしょう?」
「……止めようと、した……。けど、それより、早く……飲み干した……から?」
コテン、と小首を傾げながら、自分に非はないとでも言いたげに自信を見つめる少女に、セバスチャンはしかたがない、と
ため息をついて少女の頭を撫でた
「まあ、それは私にも非はありますね……」
「……?」
ただ少女の頭を撫で続けながら共に歩くセバスチャンに
少女はまたしても首を傾げた