白執事
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「すごいですセバスチャンさん!!今日で連続50勝です!!」
「さ、さすがワタ……セバスチャンさんネ……」
「スゲーな
ウチの執事は」
口々に褒める3人を余所に、セバスチャンはこちらへと歩み寄りながらシエルの話に耳を傾ける
「わざわざ秘境まで行って連れて来た拳法の達人……
今日こそ地に膝をつくお前が見れると思ったんだがな」
「それは残念でございました」
にっこり、と嫌みの様に笑う彼に少女は眠そうな顔を上げた
「おつかれ、さま……」
「ええ。ありがとうございます」
セバスチャンが少女に視線を向けて、柔らかく微笑むと
シエルが飲み物を差し出した
「まっ、ご苦労だったなセバスチャン。
まあ飲め」
「恐れ入ります」
「あ……セバスチャン、それ……」
イッキにな、と付け加えるシエルと、後ろでよくひえていますよ、と言うタナカに少女は飲むのを止めようとするが、
それよりも早くセバスチャンはグラスを傾けてドリンクを飲み干してしまった
「ところで――――」
氷だけ残ったグラスをトン、と音を立ててテーブルにおくと
メイリン達に顔を向ける
「貴方達はどうしてここにいるんです?」
ギクリ、と体を強張らせる彼らに
セバスチャンは任せたはずの仕事内容を口にしていく
「フィニ。中庭の草むしりは終わったんですか?」
「あっ」
「メイリン。シーツの洗濯はどうしました?」
「え……ええっと……」
「バルド。貴方は晩餐の準備をしていたハズでは?」
「ちぇー」
「こんなところで油を売っている暇があるなら仕事なさい!」
焦る3人に言い放って、ひぇーと逃げていく彼らを
少女はボーッと見つめた
「メイリン……てつ、だう……?」
「いい。お前は僕の傍にいろ」
「ん……はい……」
一番身近にいる女性として、メイリンを気にかけている少女は
彼女を追いかけようかと首をかしげるが、シエルが止めると素直に頷いて、またもやボケーとどこかを見つめた
「ああ、仕事といえば。セバスチャン。
イタリアのクラウスから電話があった」
「クラウス様から?」
立ち上がるシエルの椅子を引きながら聞き返すセバスチャン
腕を差し出す彼の手に、ステッキを差し出した
「それについて少し話がある。来い。
シロもだ」
「かしこまりました」
「ん……」